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ザクッと介入決定。からの・その1

「カフッ! ゲホッ! ゲホッ……ペッ! ふぅ、助かり、まし、た……お腹の内側から、貫かれる……のは、初め…ての、経験でした……よ」



 そりゃそうだ。


 俺だってあんなショッキングな光景、生で見る日が来るなんて夢にも思わなかったよ。


 ―――おっと。


 治療して助かったとはいえ致命の一撃。


 さすがに支えが必要か。


 うん。


 軽いな。


 エーテルウェポンの鎧が消えちゃったってのもあるけど。


 しかし。


 治療が成功したわりに顔色悪し。


 なんだろう?


 血が足りない?


 たしかに献血しただけでも結構くるものはあるけど。


 いま、そんなに出血したかな。



『いや、これも一種の魔力酔いというヤツじゃろうな。突然、身の内側に強力な魔力の塊が出現したワケじゃからのぉ。魔獣の魔導水晶を取り込むのとは比べ物にならんくらいに強烈だったかもしれん。たぶんな』



 なるほど。


 つまり時間経過でしかどうにもならんね。


 それでも結果としては上出来。


 しかしまぁ、体の内側からとはねぇ。



『ゼロからの具現具象化、創造系の加護の力のようじゃね。おヌシの内側に生成されたモノに関しては、そうなる前に噛み潰せるじゃろうが……』



 守る側としては厄介だねぇ~。


 予備動作を潰せなければ、確実にアウトか。


 しかしそれを実行しようにも、こうして距離があるんでは難しいときたもんだ。


 ついでに使い手自身の能力も高め。


 うーん、厄介!


 こういうのってさぁ、もっとこう……戦いのイロハも知らないようなボンボン貴族とかが使うのが定番なのになぁ。


 そうそうウマい話はなかったか。残念。


 で。


 妹ちゃん、こちらを見る。


 戦いを邪魔されたことへの苛立ち……って感じはしないな。


 警戒してるか?


 するか、そりゃ。


 祝福結界、見せちゃったもんな。


 いつぞやの、英雄の剣……だっけ? 肩書きだけのクラスSとは違う、本物の実力者。


 しかも向こうも女神の力を使ってる状態。


 ただの素早い動き、だなんて都合よく楽観視はしてくれないんじゃないかな。



「……私は素晴らしい力を手に入れました。この力さえあればエスタリアが世界に覇を唱えることも、もはや夢物語ではありません。ありませんが……問題がないワケではないのです。当たり前の話ですが、個人で大国の全てを管理するのは、現実的ではない」



 ふむ。


 言ってることは俺でもわかる。


 どんなに強い人間でも、ひとりでは限界あるよね。



「その通りです。国家運営には戦力……武官はもちろん必要です。しかし、それ以上に優秀な知恵者を揃えなければなりません。領土を拡大したところで、それを適切に管理運営できなければ意味がありませんからね」



 うん。わかるよ。


 野心家の脳ミソ筋肉どもが王になったとき。


 よほどの人格者じゃないとハッピーエンドにはならないからね。


 自分に知恵が足りないと自覚していて、かつ周囲の言葉に耳を傾けることができる器のデカい人間でないと。


 人格者の脳筋はそもそもそんな野心を抱くのか、ってとこは疑問だけれど。



「フフッ……その意見には私も同感です。そもそも己をわきまえている武人というものは、無用の権力を忌避する傾向にありますからね。残念ながら、現在の私の部下に該当者はいませんけれど」



 やれやれ……と、言いたげな妹姫。


 ………ふむ。


 お前、知ってるな?


 街中で自分の部下たちが略奪まがいの……いや、略奪そのものやってることを。



「もちろん。あの莫迦どもは私が直々に粛正する予定ですから。国力と軍事力の強化を命じたのは確かですが、あのような無様を許した覚えはありません」



 んん?


 なんか風向きが。

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