サクッと到達、いざボス戦
ゴーレムの騎士、なかなかよく動く。
そしてそれを軽々と避けながら走り抜ける盗賊トカゲ。
そりゃね、野生のヤツらよりかはよっぽど強化されてるハズなんだけどさ……スゲェな? キミは。
召喚獣。
もしかして、召喚者の影響を受けてる?
たとえばステータスアップ系の……攻撃回避の祝福とか。
『ふーむ? ふむ。ほぉ~。確かにいくらかは作用しておるようじゃねぇ~。まぁなぁ。おヌシと魔力で繋がっとるけんね、そういうことなんじゃろうねぇ』
そうきたか。
これはあとでイロイロと実験が必要かな?
◇◇◇
施設の外側をガンガン走る。
内部は動きが制限されて逆に危険だろうと判断。
もちろん外なので四方八方から色んな攻撃が飛んでくる。
当たらんけどね。
盗賊トカゲの脚力もそうだけど、姉姫さまが剣で迎撃してくれるので楽チンでございます。
さすがは特務大将リーフェルジルヴァ閣下でござ―――
「リズ、でよいですよ。長いでしょう? それに、私を誰もリズと呼ばなくなって久しいですからね。ついでに口調も畏まらなくて大丈夫ですよ、デュランさん」
やっぱり名前、知ってたか。
でもさすがに驚きは無いかな。
けっこう前から監視? されてたらしいし。
逃げるためとはいえ、クラスSクランや国の貴族と当たり前のように衝突してたもんな。
そう考えると、抜ける前提とはいえマルライツァー閣下はよくまぁ俺を軍隊に誘ったもんだ。
どう考えても危険人物。
ま、そのへんも加味して利益アリ、と判断したんだろうけれど。
◇◇◇
「……少なくとも、昨日の午前中に私が本部を訪れたときには、ここはただの整地された広場だったのですが」
ガッツリ見事な地下への階段、出来てるね?
この規模をこっそり建設はどう考えてもムリだろう。
おそらくはこれもチートの力。
そして妹姫さまの気配は奥のほうから。
つまりはここが本丸。
そして、この周辺だけ反乱軍もゴーレムも配置されていないということは……。
「妹が……レジィが私たちの接近に気が付いていない可能性は有り得ないと思います。あの子は戦闘に関しては天才的なモノを持っていますから。つまり、そういうことなのでしょう」
入ってこい、か。
よほど自信があるんだろう。
そして聞きたくなかった新事実。
戦闘の天才とな?
もともと才能あるヤツがチートアイテムを使ってくんの?
怖ッ。
◇◇◇
階段を下りるとそこは、立派なお城的な光景でした。
軍の施設、って雰囲気じゃないな。
そして左右にずらっと並ぶゴーレム騎士。
一斉に動き出して襲ってくるのかと思いきや。
「剣を縦に構えて直立不動の姿勢。いわゆる、騎士の礼……というモノでしょうか? エスタリアの軍隊でいうところの敬礼のような」
初手で力を見せつける。
これも戦闘の駆け引き。
って、前にマンガで読んだな。
なるほど。
これはたしかに気後れしそうな光景かもしれない。
俺は女神の秘宝の効果によるものと知っているし、俺自身が女神の加護の力を持ってるから平気だけど。
リーフェ……リズに関してはさすがとしか言いようがないね!
それとも。
言葉にしないだけで女神の秘宝のことも知っているのかな?
さて。
ちょっと豪華な扉、ありますねぇ!
アレがいわゆるボス部屋の入り口。
ふむ。
階段からの距離もそれなりだし、なにより通路の左右にはゴーレム騎士がずらり。
退路は断たれるだろうな。
ついでに言うと、祝福の加護が少しだけ鈍ってる。
感覚的にわかる。
アレかな。
女神の秘宝の力で作られた空間だから、こう、結界みたいな感じで作用してるのかな?
ゴリ押しでカバーできそうな程度だけど。
ちと怖いね。
………。
またボロ雑巾のようになっちゃうかな?
どうせなぁ、結局は覚悟を決めて強力な祝福を使うことになるんだろうなぁ。
ま、その程度で解決できるなら安いもんでしょ。
しなやす、しなやす。
死ななきゃ安い!
そして、死なせず済むなら安い!
それでは。
おーぺん、ざ、どあ~!