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どっぷりバトル! 幻栄女王の宴・その5

 状況確認。


 本部側の施設を利用して防御の構え、これは反乱軍。


 見た目が騎士の鎧のゴーレムたち、これも反乱軍。


 なかなかの数を揃えている様子。



 対する……えーと、正規軍とでも呼べばいいのかな? こちらはかなり控え目な感じ。


 予想以上に裏切り……熱に浮かされてハジケる若者が多かった?


 思いのほか決起が早くて準備不足?


 あるいはその両方か。


 反乱軍が強化人間を利用する可能性にこだわり過ぎたとかも。


 相手は準備万端でことを始めただろうからね、後手に回ればこうなるものなのかな。


 とにかく。


 挨拶代わりに軽く薙ぎ払ったものの、戦力の差は一目瞭然。



 あとは……統率されてる。


 無秩序にゴーレム並べましたー、とかって様子ではなく。


 明らかに何人かの指揮官っぽい、ちょっと偉そうな服装のヤツが操っている感じ。



『しっかりと条件付けして生産したんじゃろうね~。しかしながら……秘宝と女狐のエーテルリンクの融合具合を探った様子じゃと、そうそう長いことは使っておらんな。まぁ、向こうは幼少より軍人教育受けとるじゃろうし、経験が活きとるんじゃろうなぁ』



 ふむ。


 加護の力は俺のが上。


 が。


 本体の能力は向こうが上。


 まぁね、俺と違って妹姫さまはマジな戦闘のプロフェッショナルだもんな。


 となれば、本物との戦いに俺程度の娯楽知識のごまかしが通用するとは思えんよね。


 さて。


 そんな相手に俺が勝つためにはどうすればいい?


 決まっている。


 チートをフル活用して正面からねじ伏せる。


 それしか勝ち目は薄い。


 いや、勝ち目は無いな。ゼロ。


 俺には相手に致命傷を与えてはいけないという、ホントにただの自己満足だが……決して譲れない制限があるからな。


 前提条件がコレだもの、ほかに手段を選べる身分じゃございませんのことよ。



 よし。


 そうと決まれば男は度胸、敵陣中央を駆け抜けたるわい!


 持久戦に持ち込むのは厳しいだろうし。


 向こう、いくらでもゴーレム出せるだろうからね。


 理想としては、俺が妹姫さまの動きを……女神の秘宝の力を封じるか、あるいは最低でも俺に集中させるか。


 かなり祝福の加護を使うことになるだろう。


 上手く勝てても十中八九、表の世界から姿を消す必要が出てくるだろうけど……そこはほら、ね!


 アレだよ。


 なにもしないで後悔するよりはいい。


 と、いうことなんで。


 マルライツァー少将閣下殿、この場はお任せしませう。



「キサマ、本気で言っているのか? この状況、ひとりが乗り込んだところで解決するほど甘くはないだろう」



 ごもっとも。


 しかしながら、ね。


 俺はコレがなんなのかを知っている。


 貴方がたはコレを知らない。


 ……これ以上、意見は必要ですか?



「いや……はぁ、まったく。仕方ないとは実に便利な言葉だな。こういうときにはいっそ清々しいほど忌々しいくらいだ。いいだろう、フェイス・コード。キサマに任せるとしよう。だが失敗しても手助けは期待するなよ? そんな余裕なぞ欠片も無いからな」



 了解でありま~す。


 それじゃあ早速―――。



「待って。妹の、レグルナルヴァのもとへ行くのなら、私も連れて行って下さい」


「閣下……お気持ちは察して有り余りますが、危険であります。それにこの場の最高階級の者が抜けたのでは、部隊指揮に影響が」


「私ひとりが不在となっただけで機能不全になるような脆弱な軍隊ではありませんよ。それに、身内が引き起こした騒ぎを他人に任せきりでは今後のためにもなりません。フェイス君、どうかお願いできませんか?」



 んー。


 ま、いいか。


 この流れ、どうせダメっても無理やり付いてくるつもりでしょ?


 なら、まだ一緒に行動するほうがマシ。


 ただひとつだけ条件。


 俺は妹姫さまを止めるために行くのであって、姉姫さまがそれ以上の成果を……まぁ、なんだ。確保したあとに妹姫さまの首とかを望むのなら。


 俺、全力でお邪魔しちゃうぜよ?


 そういうのは俺がいなくなってから好きにしておくれやす。


 グロとか鬱はストレスの原因になるので許しません! ……とまでは黙っておこう。


 そういう空気ちゃうし。



 さて、どうする?



「よいでしょう。交渉成立ですね。ただし、私もまだ死ぬわけにはいきませんし、死にたくありませんので。手詰まりになったときには……それくらいは見逃してもらえますよね?」



 もちろん。


 たまに見かける、たとえ敵でも命なのよ! からの味方が命を落とすパターン。


 アレね、俺はちょっと好きじゃないの。


 俺のこだわりより、間違いなく姉姫さまの命のほうが価値があるからね。


 いざとなれば祝福の加護で援護するつもりではいるけれど……その“いざ”の瞬間に俺が近くにいるとは限らない。


 だから仕方ないね!



 しかし。


 さすがにふたりで乗るのは難しい……うおッ。


 姉姫さま、身軽。


 さすが。


 背中に当たる胸当ての金属がちょっと痛いけど。


 それくらいはガマン。


 それじゃスマンがね、もうちょっとだけ走ってもらうよ?


 全然余裕? マジでタフだね君は。


 盗賊トカゲくん、偉い。


 

 準備完了。


 それではボス部屋まで、レッツゴーッ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 前の第三者目線がなかなか面白かったです
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