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チリチリ焼き付く戦いの匂い・その1

 祝福結界を刻むことによる時短。


 ひたすらダッシュ。


 とはいえ。


 休息も必要だからね。


 1度、結界を解除しまして。


 国境の山奥にて、祝福変化で色々だして一服。


 できればひと眠りしたいところだけれど。


 いま眠ると、ちょっと起きられなくなりそう。


 かなりキテるから。


 まぁね、報告さえ済ませればいいからね、気力でなんとか乗り越えてみるさ。


 眠らない程度に身体を休めて。


 糖分とタンパク質。


 甘いものと肉でエネルギー充填です。


 ん?


 おや、野生の盗賊トカゲ。


 なんだお前、肉食いたいのか?


 仕方のないヤツめ。


 よしよし。


 和牛の味、お前たちにとっては異世界の味、美味いか?


 美味いらしい。


 え? なに?


 仲間のところに持っていきたいの?


 うん。


 ちょっと勢いに任せて沢山お肉に変化させちゃったからね。


 それくらいお安いご用ってね。


 ちょっと頭下げて……こんな感じで……どう? 走れる?


 よし。


 余ったお肉のは全部風呂敷に包んでトカゲの背中へ。


 じゃあな。


 あんまり人間の生活域に近寄るんじゃないぞ。



 ふむ。


 走り去る盗賊トカゲ。


 なかなか軽快に森の中を駆け抜けるな。


 あんなに荷物背負ってるのに。


 ……。


 乗れる?


 乗れるかな。


 どら。



「―――、―――?」



 ちょっと霊気を強めに、大きいボディで召喚してみました。


 んー。


 このままだとお尻が悲惨なことになりそう。


 鎧とか?


 防具もかねて、こう……こっちは下を……腕、動く? もっとここに隙間欲しい? よし、なら……こう曲げて……うむ。


 どれどれ―――おぉ!



「―――、―――!」



 軽く走ってもらっただけなんだけど。


 コレ……いい……。


 乗り心地、悪くない。


 たぶんだけど、コイツが、盗賊トカゲがそもそも器用なんだろうな。


 走り方が上手なんだろう。


 こりゃいいや。


 このままエスタリアの南までお願いしようかな。


 でもその前に。


 ゴソゴソ……ほい!


 エスタリア国防軍の軍服。そして~、ちょい!


 コード“E-7381”を顔にペイント。


 これでよし。


 いざ、出発ッ!



「―――! ~♪」



 ◇◇◇



 身体を精神を……というより。


 心を休めるために。


 祝福を最低限に、トカゲの背中でゆらゆらと。


 もうすぐエスタリアの中央が見えてくるころかな?


 気持ちの調子のほうはだいぶ良好。


 うむ。


 朝日の中の、涼しい空気。


 草むらには朝露がキラリと光ってみたり。


 んー、いいね!


 このペースなら、グラナーダ中央区にはお昼過ぎくらいかな?


 報告を済ませたらグッスリと眠りたい。


 眠りたいけど……うーむ、学生たちのこともちょっと心配なんだよなぁ。


 合成魔獣の研究。


 人間が実験材料にされるようなことはないと思いたいんだけれど。



 ◇◇◇



 お、見えてきた。


 遠目に見てもエスタリアの中央区、建物が高いから。


 あまり良い記憶はないけれど―――あん?


 なんだ?


 なにか……この感覚は……。



 ―――ッ!?


 人間の霊気、戦闘濃度……ッ!


 それも複数……かなりの大人数……ッ!!



 なにがあった?


 いや。


 なにがもなにも。


 このタイミング、革命派が動いたのか!


 どうする?


 情報、ゼロ。


 迂闊に飛び込むのは危険、というか俺が邪魔になるかもしれん。


 予定通り、まずはヴェンティ閣下に報告に行くのが正解か?



『……いや、そうとも限らんやもしれん。この感触、間違いない。女神の力の気配じゃ。この前に対峙した幻想が宿してした残滓とは違う、完全な形で能力が開放された女神の秘宝が』



 ……うわぁ。


 女神の秘宝ときたか。


 しかも完全な形の。


 それってさ、やっぱり女神さまの祝福の加護が……?



『歪むじゃろうね。戦うならば、かなり厳しい戦闘になるじゃろうな。あとは―――ふむ。どうやら所有者は例の狐女かのぉ。おヌシを蹴り飛ばしてくれた、あの無礼者じゃね』



 くぅ~! そうきたか!


 たぶん。


 エスタリア革命派、最初からストディウムの研究とかを当てにしてなかったんじゃないかな。


 女神の秘宝。


 どんな力を秘めたアイテムを持ってるのかは知らないけれど。


 始めから、それを利用するつもりだった……のかもしれん。


 むむむ。


 それってやっぱり、普通の人じゃあ……やっぱりムリ? うん、そうだろうなとは思ったよ。


 仕方ない。


 そういうことなら―――



『そういうことならばと、おヌシが戦わねばならぬ理由は何処にある?』



 ―――はい?

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