表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

187/306

びっくりバトル! 人造妖魔・その2

 なんとも色々と混乱は落ち着かない。


 が。


 のんびり考察している暇もない。


 炎の毒。


 ばっちり鎖にも付与しましょ。


 攻防一体。


 これでどの程度、凌げるのか。


 どきどきハラハラ、ちょっとワクワク。


 うん。


 やっぱり俺、少し危なくなってるのかもしれん。


 いまはどう考えてもお楽しみの状況じゃないよ。



 さて、アサシンちゃんのほうは?


 ふむ。


 警戒してるな。


 驚かせることには成功したらしい。


 問題はここから。


 次の一手をどうしようか?



「毒。毒ねぇ。毒かぁ。……くふッ。ふふふ。ふふふふッ!あははははぁ~ッ!!」



 うぉ。なにごと?



「ねぇ……自分で言うのもナンだけどさ。ワタシって、けっこうカワイイと思わない?」



 ふむ。


 美人6割、可愛い4割。


 愛嬌があって大変よろしいかと。



「でしょ? それにぃ~スタイルもそれなりに恵まれてるほうだし。あと、これでも料理とかさ、家事も得意なんだよ~♪ ねぇ、ねぇ! ワタシ、きっといいオヨメさんになれると思うんだよねぇ~」



 なんだか急に可愛らしいこと言い始めたな。


 纏う妖気はまったく可愛げの欠片もないけれど。


 ………違う。


 妖気と霊気が混ざってる。


 正しくは混ざってた、かな。


 いまはどんどん妖気が膨らんでる。



「きっと、シアワセな家庭ってヤツ、ワタシとキミなら作れると思うんだよ。だからさ。だから、キミの全部。ワタシにちょうだい? ―――出番だよ、百眼蛇(マルチ・アイ)



 なるほど。


 帝王種の魔導水晶、取り込んだって言ってたもんな。


 いま、俺が見ているのがそうか。


 アサシンの後ろに現れた巨大な白蛇。


 人間どころかゾウさんも丸のみしそう。


 身体にはピラミッドにでも描いてありそうな目玉の模様が―――わぁお、動くんか~い!


 そうか。マルチアイ、ってたもんな。


 視力、というより観察力とか? 強化されてるのかもしれない。


 あと。


 手足に白銀の鎧がいつの間にか出現してました。


 まさにパワーアップ。



 しかし。


 この感覚。


 霊気と妖気の違いはあるんだけれどさ。


 これは。


 この感覚は。





 エーテルウェポン?


 なんで?





「イクよ~♪ ガンバって全部、受け止めてね~ッ!!」



 うは。やべぇわコレ。


 鎖の迎撃がちょっち間に合ってない。


 髪の毛は使ってこないけど。


 妖気がヤバい。


 パンチや蹴り技にあわせて、ムチのようにしなって襲ってくる。


 なんかボクシングでこんな……フリッカーだったかな。


 怖ッ。


 ローブに仕込んだ回避の祝福がなかったら、と思うと。



 ふぅ。


 心に余裕はまだ残ってる。


 けどさ、短時間に情報多すぎだよ。


 俺の頭のCPUが悲鳴上げちゃうよ。



 うん。


 考えるの止めよ。


 いま、目の前の敵を。


 いま、この瞬間を生き延びなければ、全ては無意味。


 思考放棄、仕方ないね!


 というワケで、さっそく次の手札を切らせてもらいましょう。



 技の祝福。


 イメージはチェーンソー。


 俺を中心に、強化した霊気の鎖をリング状に。


 とりあえず4つでいいかな。


 それを高速回転させて。


 こんなもんか。


 本物のチェーンソーは鎖に刃物、チップって言うんだっけか、そういうのが付くけれど。


 攻撃的な霊気と高速回転。


 これだけでも充分な武器になる―――かねぇッ!!!



「きゃッ!? っと。あはッ♪ 器用なコト、するよね~。んふ、やっぱりタノシイよ、キミは。たま~にクラスSのハンターとかとも戦う機会あるんだけどさ、いままでの相手と比べて……ん~、違うね、比べるまでもない―――よッ!!」



 んん~、いい音しちゃってまぁ。


 俺の鎖と相手の鎧。


 ぶつかる度に音と衝撃スゴいわ。


 しかしどうする?


 どうやって、なにをして決着にすればいいのやら。


 コイツが何者なのか。


 それはそれで気になるけれど。


 1番は。


 1番は……さっさと逃げたい。


 祝福結界を見せたくないから戦ってるワケで、今日はバトルを楽しむのが目的じゃないもんなぁ。


 できればサクッと倒して逃走したいところなんだけれど。


 加減、どうしようか?


 相手を制圧するにも、加減を間違えると押し潰してペシャンコにしちゃうからね。


 んー。


 毒?


 毒か?


 いくつか手頃なのは用意しといたけどさ。


 潜入用に。


 コイツに試すにはマイルド過ぎて効果なさそう。


 強化するかぁ。


 どうせ技の祝福、見せちゃったし。


 その流れでやっちゃうか。


 術式に関わるような祝福はデュラン・ダールの手札だからね。


 絶対に見せるワケにいかないし。


 よし!


 ……神様ヘルプッ!



『仕方ないのぉ~。世話が焼けるのぉ~。むふふ♪ そうじゃね、ちぃっとばかしキツめの麻痺毒を霊気を頼りに流し込むかねぇ。いまの奴めは人間から大きく外れておるからな。むしろ致命傷にならんけぇ、好都合じゃね!』



 よっしゃ。


 プラン決定、祝福ブーストッ!



「―――くッ!!」



 むむむ。


 発動前に距離をとったか。


 やはり良い勘してるな。


 野生の動物がそういう感覚に鋭いように。


 魔獣の力で危険への嗅覚が鋭いのかもしれん。


 そもそもの基礎能力が俺とは全然違うだろうけどさ。


 だが、ありがたい。


 おかげで準備を調える時間ができた。


 ……よし。


 いざ、突撃―――



「そこまでだ」



 おや?



「お前、なにをしている。妖気の開放は許可していないハズだかな」


「……なに。いまイイトコなんだけど。ジャマするなら隊長だって容赦しな―――ひぎゃんッ!」



 あ。



「まったく。これさえなければ蛇人族は種族として完璧なんだろうがな。さて……貴殿が噂の幻想狩り殿か。御目にかかれて光栄だよ」



 丁寧に一礼するのは普通の人間……じゃない、只人族。只人族の女の人。


 気絶する前、ヘビちゃんが隊長って言ってたな。


 ふむ。



 つまり、いま俺を包囲してんのは全員お仲間さんってことか。



 探知範囲を広げなくてもわかる。


 すっごい見られてるよ。


 これがいわゆる“視線を感じる”ってヤツなのかな。地味に初体験ですわよ。


 で。


 霊気も妖気も戦闘濃度じゃないってことは。



「その通りだ幻想狩り殿。ここはひとつ、取り引きといかないか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ