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ちゃっかりチートと互角なヤツ

 覚悟を決めたのはいいんだけど。


 どうやって出るべなぁ。


 よじよじと登ったら?


 頭出た瞬間パァンですわよ。


 ジャンプで飛び出す?


 頂点で動きが止まったところをパァンですわよ。



 いきなりピンチ!


 どうするかなぁ~。


 ……少し、ハデにやるか。


 土と音の式陣マテリアル。


 これを混ぜて……こう、範囲を絞って……少し風も足しておくか……よし。


 いくぜッ!


 どっかぁ~んッ!!



 土を上に向けて吹き飛ばす。


 土砂に紛れて脱出。


 音はすべて霊術に吸わせて。


 よし。


 まずは着地!


 さてさてぇ―――来るッ!!



 ナイフ! 定番だなッ!


 それこそ、本体とは別方向から飛んでくることも含めてなッ!


 ―――疾ッ!



「わおッ!? へっへ~、さすがにバレバレだった? フフ~ン、キミぃ、本当に面白いね……すっごく面白いよね」



 現れたのは……蛇人族の女か。


 月明かりの薄暗い中でも、赤い……紅い瞳の光がハッキリと見えるのが雰囲気出てるわ。


 ホラー的な意味で。


 さて。


 案の定、攻撃飛んできたし。


 ステルス解除でいいべ。


 しかしまぁ。


 けっこう自信あったんだけれど、そんなに雑だったかね?



「雑ぅ? まっさか~。むしろカンペキ過ぎてアウトってヤツかな。自然界の、そのへん漂ってる魔力ってさ。もっと乱れてるんだよ。キミの隠れてるトコロは整い過ぎ。それが人のカタチしてるんだもん、そりゃわかっちゃうよ? ま、ワタシ以外にできるかは知らな~い♪」



 なんということでしょう。


 女神の加護、完璧過ぎてバレたとは。


 これは……悔しがっていいのか?


 なんか複雑な気分だなぁ。



「でね? でね! ナニを見たのか教えてくれたりしない? あ、ちなみにワタシの手持ちの情報はぁ~」



 ふむふむ。


 ほうほう。


 なるほど。


 クックック……残念だったな。


 それでは、取り引きには応じられないぜ。


 なにせ。


 キサマの知っていること以上のことは、なにも得られなかったからだッ!


 ふーむ。


 やはり本職のスパイには勝てないね!


 スパイ?


 スパイでいいのかな?



「合ってるよ~♪ そっかそっか、情報、大丈夫だったかぁ。いやね? ちょっと女の子集めて、ちょっとお酒飲ませて、ちょっとおっぱい押し付けたらペラペラ喋ったからさぁ~。イマイチ信用していいのか迷ってたんだよね~」



 ただただ残念です。


 色仕掛けでホイホイ秘密喋ってんじゃねぇよぅ!


 まったくも~。


 で。


 霊気、戦闘濃度ってことは。



「ストディウムに潜入中の仲間の情報は全部管理してる。で、ワタシはキミを知らない。秘密を知る人間は少ないほうが好都合なんだよね。お祭りの準備を邪魔されたら興醒めも―――わぉッ!?」



 チッ。


 やっぱり背後からの不意打ち程度じゃ当たらないか。


 投げた霊気の針、呼び戻してみたんだけれど。


 相手が悪かったかな?



「……あはッ♪ あははッ! いいね~、いいよ~キミはさぁ~。意趣返し? いいね。ワタシ、やっぱり男の子のほうからグイグイ来てくれるほうがウレシイなぁ~♪ 蛇人族のサガってヤツだよ―――ねぇッ!!」



 速い。ムリ。


 チートに身を任せるしかない。


 毎回こう……こんなんばっかだな、俺。


 たまにはね?


 もっと手頃な相手とバトルしたいです。


 んで。


 相手は格闘タイプ、武器は無し。


 けれども雰囲気はアサシンっぽいぽい。


 なら、たぶん。



「―――疾ッ!」



 うぉッ!? っと。


 やはり隠し武器……暗器を使ってきたか!


 上半身がセクシー系のわりに、下半身が布地バリバリだったからね。


 そんなことだろうと思ったよ!


 どうする?


 攻める? 攻めるか。


 この手の相手で後手に回るのはアカンでしょ。


 頭の回転がトップギアな連中ならともかく。


 知的キャラではない俺に臨機応変は厳しい。



 っし!


 イメージは鎖。


 命を奪うのではなく、自由を奪う。


 祝福。


 対象、霊気の鎖。


 追従、緊縛、霊気剥奪。


 さぁ―――いけッ!!



「よッ! ほッ? おっとっとぉッ!! あはは~ん♪ やるやるぅ。そんなにワタシを捕まえたい? フッフフ~ン♪ ナニをされちゃうのかな? いいよ~、早く捕まえて♪」



 あ、やっべ。


 全部弾かれてやんの。


 そんなバカな。


 鎖が絡み付くより速く拳で打ち払われてらぁ。


 鎖の祝福、効果が鈍ってる手応えはない。


 素の能力で上の相手?


 だとしても霊気の剥奪が無効化されるのはおかしい―――うぉッ!?



「ダメだよ~、攻撃鈍らせちゃあね? ちゃんとワタシを見て欲しいな♪」



 近ぇッ!?


 回避、動くッ!


 ったく、鎖スルーで懐まで潜られたか。


 ふーむ?


 攻撃と違い、回避はなにも問題ない。


 なにが違うのかな。


 しかし、どうする?


 逃げるだけなら可能。


 しかし、コイツの前で大がかりな祝福を使いすぎるのは間違いなく危険……な気がする。


 女神の秘宝による反発とか。


 あとあとの反動とか。


 そういう、自己完結できる問題とは違う理由で。


 特に……できれば祝福結界は使いたくないな。


 ステルスも見破られたし。


 ………。


 イヤな感じだ。


 避けるのは余裕。


 だけど。


 さてさて、どんな奥の手が飛び出てくるのやら―――うわぁおッ!?



「はっは~ん! やるやるぅ~♪ コレを避けられたの、キミが初めてかもね~。ウレシイなぁ~タノシイなぁ~、ちょっとコーフンしてきちゃった♪」



 奥の手かと思いきや。


 髪の毛でしたとさ。


 ロングストレートが気がつけば三編みに。


 そんなもん武器にするとはね。


 器用なヤツ―――で、済めばよかったんだけどさ。


 魔獣の妖気。


 なるほど、これが噂の。



 ()()()()()()()



「おぉ! 物知りさん! そうだよ~。蛇人族だけにね、スネークタイプの帝王種の魔導水晶をゴックンとねぇ。最初は難しかったけどさ、変幻自在の蛇の動き。便利で面白いでしょ? ヘビさんニョロニョロ~って。―――キミの仮面とお揃いだね? 幻想狩りさん♪」

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