ほどほどに学院探検・その2
同じ生産系の学部でも、やはり工作系はまた違う。
家とかの建築だったり。
術式道具の製作だったり。
なにより。
「なにをするにしても道具は必要じゃからな! 剣、包丁、クワにハサミ、なんでもお任せじゃい!」
溶鉱炉、迫力スゴい。
炎の魔力もガンガン感じる。
うむ。
やはり鍛冶錬成はひと味違うわ。
あと。
年配の学生、多いな?
「新しい世代との交流、あるいはまだまだ勉強したいという意欲。もちろんそれらもあるがな、1番の目的は炉の火を絶やさないための人員じゃな。学生としてなら学生寮が使えるから、寝泊まりも便利でなぁ」
そんなふうに話すドワーフのおっちゃん。
ヒゲヅラでブレザーの制服だもんな。
しかし。
そうか、溶鉱炉。
火が消えると大変なのか。
そりゃそうだよな、高温を維持しないといけないもんな。
鉄の溶ける温度。
100や200どころじゃないだろう。
そもそも。
そんな温度で金属がやられてたら料理もできんわな。
ふーむ。
24時間フルタイム?
となると、素材置場も人の出入りが途絶えないだろう。
つまり。
ま、せっかくだし。
見せてもらえるなら見とこ。
◇◇◇
ふむ。
魔獣素材、多し。
「鉄鉱石もあるにはある。しかし、アレはなぁ。純度の高い金属は高度な儀礼武具くらいでしか使わんし、普通の武器や術式道具なら魔獣素材のほうが楽じゃよ。幸いにしてゴーレムタイプもタートルタイプも普通におるからな!」
ほー。
新情報。
純度の高い金属か。
ふむふむ。
その辺りの話、あとで図書館だな!
んで。
肝心の素材は……バラバラに解体されたであろうゴーレムと、巨大な亀の甲羅。
これを溶かして使うワケね。
あとは……魔導水晶。
案の定、異変は感じない。
そのほか、珍しいものは沢山あるけれども。
大事な素材だからね。
素人が遊び気分で触るのはよろしくない。
素直に帰りましょ。
◇◇◇
「幸いにして……と、言っていいのかワカランが、こういう汚れるような仕事はプライマリの邪魔は入らん。なんだかんだ言い訳して物を持っていくことはあるがな。とはいえ……学院全体の雰囲気じゃからなぁ。学生たちもあまりいい気分ではないのも確かだ」
あんたも学生ですよー?
と、野暮なツッコミは置いといて。
まずは案内してくれたことへ感謝。
あとは……あとは?
なにを聞くよ?
まさかこっちの事情、全部話すワケにはイカンでしょ。
ここだけの話は100パーここだけでは終わらない。
うん。
製品についてでも聞いとくか。
ほー。販売?
そうか。服も売ってるくらいだし、ほかの日用品だってお店に並べることもあるか。
そうだな。
せっかくだし、間に合わせのナイフでもあとで見ておくかな。