ちゃっかり依頼でも出してみて
「僕たちにハンターとしての生き方を教えてください!」
何事?
「んーとね、この子たちさー、デュランさんに憧れちゃったみたいだよー。よかったねー。あはッ♪」
チーム猫娘の一人、シアンだったかな。
憧れと言われても。
俺ハンターじゃねぇし。
うーん。
あ、そうだ。
新人たちとギルドに移動。
ちょうどいい、ブレイドテールへの“貸し”を精算しよう。
「んー? なになにー? 依頼?」
内容は簡単。
この子たちの教育。
「ほー?」
「「えッ?」」
面白がってるシアンと、困惑する新人たち。
そういえば君たち、パーティーの名前とかは?
「へ? あ、はい。僕たちのチーム名は“森の牙”といいます。僕たちが育った村では、フォレストハウンドの素材が日用品に使われていましたので」
なるほど、地元愛のあるいい名前じゃないか。
では正式に依頼書を書きますか!
「ちょっと、アタシたちはアンタに頼んでるんだけど?」
「お、落ち着いて、ね? それ、頼む態度じゃないよぉ~……」
うん、まぁ、そう言いたくなる気持ちもわかる。
でも俺が引き受けるわけにはいかんのだ。
別に面倒を見てやるのがイヤなわけじゃない。
単純に俺は何も教えることができないだけ。
だって、ねぇ?
俺、ただの女神チートだよ?
せめてなぁ、MMOとかのゲーム系ステ引継系転生ならまだしも。
俺、RPGとかシューティングとかばっかやってたから、マジで何も教えることできんのだ。
しかしそれを言っちゃうわけにもいかんでしょ?
なので。
「……クラスDになれたら、ですか」
はい、時間稼ぎ入りまーす!
それまでに何か考えましょう。
ちなみにシアンはどう思う?
「どう? ああ、この子たちのクラスアップ? んー……まぁ……私たちがビシバシやれば2週間くらいカナー?」
2週間か。
それだけあれば何かひとつくらい思い付くだろ。
受付嬢さんに教えてもらいながら依頼書を完成させる。
格安とはいったけど、あまりセコいマネはしたくない。
チート貰ってんだもの。
期間は2週間。
設定金額の引き下げは控えめに。
追加報酬は森の牙がクラスDランク20に到達したら。
よし。
よしじゃねぇよ。
何も教えてやれない事実は変わってないから。
どうしようか?
一応、術師って設定だからな……。
無難に、何か武器のひとつでも作るか?