訓練バトル! ストディウム学生剣士……たち?
「それではお好きな武器をどうぞ。たいていの物は揃っていますので、よほど特殊な物でなければお貸しできますよ」
武器。
武器か。
ふーむ。
無くてもいいかな。
「「えッ?」」
さすがに背広は脱いでおきましょ。
サミルニール、お願いしていい?
「わかりました。一応言っておきますが、あくまで授業ですからね? 加減を間違えないようお願いします」
それは大丈夫。
術式を展開するわけじゃなし。
かなり本気でやっても、致命傷にはならないべ。
でも一応、祝福でリミッターかけとこ。
よし。
さ、それじゃ始めようか?
「……本当に、素手でいいんですね?」
もちろん。
刺激が欲しいんだろう?
なら、遠慮なくかかってきんさい!
「わかりました。―――フッ! ハッ! セェイッ!!」
うむ。素人目でもわかる。
丁寧な剣だな。
素直な動きだけれど、迷いがなくて鋭い。
ギリギリで避けるとかはムリだな。
祝福を使えば簡単だろうけど。
さすがにそれは野暮というか、卑怯でしょ。
充分な余裕をもって回避。
そもそもギリギリ狙ってもなぁ。
その後に続ける技がないし。
「―――くッ! てぇぇいッ!!」
おっと。
動きが大振りになったな?
んー、イカンねぇ。
そんな隙だらけの動きじゃ、俺にだってカウンターされちまうんだぜ?
「え―――うわぁッ!?」
気合いの入った袈裟斬り。
しかし残念、見え見えなのだ!
剣の腹を裏拳で弾いて姿勢を崩し―――
「~~~ッ!? いってェッ!?」
背負い投げもどき!
のたうち回る学生くん。
プロテクター、この場合は被ダメ増加。
うむ。
経験値、ちゃんと増えてる。
グリージニア大尉ほか、教官たちの“ご指導”の賜物だな。
相手の動きがちゃんと見える。
どれが隙のある動きかも見える。
フフフ。
俺も成長してるじゃないか。
………。
違ぇし。
俺が楽しんでどうする。
「へぇ~。さっすが! 世界を旅してたってだけあるね! さぁお前ら、どんどん挑戦しときな! せっかくの機会なんだ、ガンガンぶん投げられとけッ! 実際のところ、大事な経験だからな。ゴーレムタイプみたいなのに投げられて、受け身もとれなくて大惨事になる低クラスのハンターとかいるからさ」
噛みつき。
組み付き。
絡み付き。
人間との訓練ではあまり経験しない、動きをホールドされるような攻撃。
たとえソロで活動しなくても。
常に仲間のフォローが期待できるとは限らない。
自分で出来ることはやっとけと。
そうだな。
投げ飛ばされたと思ったときに、霊気のガードを思いっきり高めるだけでも違うだろうし。
うむ。
そういうことなら。
全員ばっちり相手せねば。
いうて俺も投げ技は素人だもんな。
これからコイツらは、学院を卒業したらハンターなり兵士なりになるんだろうし。
せめて、俺くらいを相手には安定しないと危険だろう。
戦いは非情だからな。フッ……。
よし。
準備できたヤツからかかってきんしゃい!
「「よろしくお願いしますッ!!」」
………。
剣士以外も増えてるんですが、それは?