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サクッと挨拶、学院案内・その2

「この辺りが戦闘技能の訓練棟です。ハンターや軍人の意見を取り入れながら改良を重ねてきただけあって、おおよそ必要な物は揃っている……ハズです。私は霊術以外はあまり得意ではありませんので、詳しい評価はなんとも」



 大丈夫だ。


 たぶん俺もわかんねぇ。



 色んな武器で訓練をがんばる学生たち。


 ちょっとしたプロテクターを身に付けての模擬戦かな。


 そばで監督してるジャージ姿は先生だろう。


 魔力の器や霊気の強さが目立つのは、たぶん現役な人たちなんじゃないかな。


 ………。


 割合、多いな。


 ジャージの色がさ。


 臨時と非常勤の色なんだよな。


 うーむ。


 完璧に人手不足なのかな?



「プライマリからの誘いを断るために、わざと正規教員から外れた方もいらっしゃいます。一応、給料の差額は現物支給で補っていますが……まったく、かつてのプライマリはここまで品性に乏しい人たちではなかったのですがね」



 つまり、確実に異変は起きているワケね。


 それが強化人間計画に関係しているかは別として。


 しかしまぁ。


 学生同士の手合わせ。


 微笑ましい中にも真剣味。


 たぶん、いや間違いなく。


 この世界に来てすぐの俺、手も足も出ないだろうね。


 いまの俺なら女神さまの加護がなくてもイケるけど。


 この感じ。


 ハンタークラスDにギリギリ届くくらいかな?


 あくまで身体能力の話だけどね。


 実際はそこに色んな要素が加わるのがハンターの仕事でしょう。



「よぅ、エレ先生。新しい教師の案内かい? ハッハ~、こんなご時世に学院に来るたぁ、アンタも物好きだねぇ! アタシは剣術科の学生たちのメンドーを見てるリグリットってモンさ! 見ての通り風人だ、よろしくな! えーと……デュラン。デュラン先生か。うん、よろしくッ!」



 はいよろしく。


 風人族……つまりはシルフとか。


 頭の位置が俺のヒジまでくらいしかないけれど、立派な成人女性でございます。


 シルフといえば後衛。


 後衛といえば魔法とか弓。


 そう思ってた時期が俺にもありました。



 弓ってさ……パワー系の武器なんだよ。知ってた?



 俺は知らなかったです、ハイ。


 引くのにかなり力が必要なんだよね、アレ。


 風人族は種族の特徴として、霊気を腕力に変換する効率が悪いらしい。


 燃費はすこぶる良好なんだけど。


 だから、技や速さが活かせる武器を選ぶ。


 剣系はまさにそれ。


 ちなみに、ルジャナで一緒だったアールヴューレは魔人族なので弓なんてお手の物。


 魔人族は燃費の悪い万能系だからね。


 細身の美少女だけど武力は高かったワケだ。



 と、いうワケでね。


 リグリット先生、たぶんかなりの剣士やで?


 んー。


 ハンタークラスAの上位ランカー。



「へへッ! 当たり。アンタ、やるじゃん? やっぱりね~、若くてちんまい女ってだけでナメられることも多いからさ。見た目に惑わされないってのは信用できる証拠さ!」


「リグリット先生に限らず風人族はそういうふうに見られるところがありますからね。さて、デュラン先生。せっかくですし少し見学しておきますか? たぶんですけど、戦闘学科の学生の相手を頼む機会も多くなるでしょうし」



 うむ。


 まずは自分の目で確かめて。


 生徒たちのことをなにも知らないで、偉そうに教えてやろうだなんて……そんな態度はよろしくないでしょ。


 とりあえずはこうして学生たちのことを知ることから―――えーと、君、なにか俺にご用事?



「新しい非常勤の先生? 戦いはできるの? ……そう。なら、ひとつ手合わせをお願いできませんか? 学生同士だとワンパターンになっちゃって、変なクセが付きそうで」


「リグリット先生は教えるのは上手いんだけどさ、模擬戦の相手にするにはちょっとなぁ。いや、ほら、身長がアレだから下手に慣れると後が大変だろ~?」


「うっさいなッ!! 別に好きでチビなんじゃねーよッ! ……デュラン先生、よけりゃ1発気合い入れてやってよ。言っとくけど、どいつもコイツもイイ腕してっからね? 油断大敵だよ?」



 おやまぁ。


 よござんす。


 学生たちとの交流は、むしろ望むところ。


 さて、どんなスタイルで戦おうかな?

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