のんびり巡回、グラナーダ中央区・その1
編成の基本は隊長含めて6人。
しかし。
こういうのって、普通はベテランとかも混ざるもんじゃないのかね?
グリージニア隊長以外、全員ペーペーなんですけど。
「少将殿も言ってただろ? 兵士も下士官も足らねーんだよ。さすがに根こそぎ持ってかれたワケじゃねぇけどよ、人員は治療院みてぇな公共施設を優先してっからな」
外敵が攻めてくる危険。
それに比べたら、この辺りは戦力を絞っても大丈夫。
素人判断でも優先すべきはどっちかなんて悩むまでもないけれど。
どうかなー。
余計な、知りたくなかった内情を知ってると印象も変わるもんだ。
おっと、イカンぜよ。
まずは目の前のお仕事に集中せんと。
定番、中央通り。
めっちゃ横幅広い。
馬車が片道2車線、4台並べてそれに歩道。
センターラインには街灯まである。
うーむ、ファンタジー系都市って感じ。
ふむ。
改めて、こうして見るとフィンブルムやルジャナより道路がかなり整備されてるな。
きっと、こういうところひとつでも国の歴史とか、そういうのが関係してるんだろう。
商店のほうは特に変わった様子はない。
戦闘国家と言っても、別に武器屋だらけとかはないらしい。
ただ、屋台みたいな出店は並んでないな。
表通りから横に入った裏通り。
そっちが賑やか。
え? あぁ、なるほど。馬車が通るから。
そりゃ砂まみれの食い物とかイヤだもんな。
ルジャナは常に雪景色だからそんな心配はいらなかった。
フィンブルムはここまで整備されてないから、馬車もゆっくり動いていたし。
表通りをまっすぐ歩くことしばらく。
街の南の出入口。
なんつーか……ときどきパッション感じる服装の人々が。
「南の同盟国、クーライル連邦の人たちだな。アレは一番近いタメリア自治区の連中さ。砂漠地帯で魔力が熱気よりだからな、服装も涼しさ優先ってワケだ。……あんまりジロジロみるなよ?」
ベタだけど。
薄い褐色の肌に明るい色合いの……まぁ、なんだ、踊り子とまではいかないけれど非常に素敵な服装。
目を引くよね。とくに男の子にとっては。
大丈夫、わかってますよ。
そうでなくても俺はいま軍人さんだからね。
あんまりはしたないマネするなってことでしょう?
「いや。あんまりジロジロみてると向こうからガツガツくるから気をつけろ。クーライル連邦の女たちはどの種族も餓えてんのかってレベルの超強気でくるからな?」
そっちかぁ~。
クーライル連邦。
俺の中で情熱の国、決定。
ってか、地元の男たちはどうしたんだよ。
「フッ……シドニアがいなくてよかったな。アイツは簡単に拐われたかもしれんぞ?」
クックックって笑い事じゃないよ。
シドニア君以外にも、ちょっと控え目な男たちはいたからね。
押されたらお持ち帰りでゴールインの可能性?
まぁ、軍属だからそんなに簡単には……はい、自由恋愛黙認。なるほど。
なんだろう。
訓練生のときに想像していた軍人ライフとは、だいぶ違う感じになりそうだな?