そわそわな新人ハンター候補たち
現れたのは6人の若者。
「あーもうッ! アンタたちが逃がすから! 横取りされちゃったじゃないッ!」
「なんだと! それを言うならオマエだって術式を外しただろうが! そのせいで囲んでたのに逃げられたんじゃないかッ!」
「なによ、アタシのせいだっていうのッ!」
「オマエだって人のせいにしようとしただろッ!」
ケンカ始まっちゃたよ。
あーあ、野犬たちも呆れてるよ。
雰囲気でわかるんだろうな、森犬が来たときみたいな警戒してるヤツは一匹もいない。
「えっと、その……すみません、その、横取りがどうとか」
真面目そうな竜人の男の子。
別に気にしないで―――ああ、なるほど。横取り。
君たち、ハンター登録試験の最中か。
「あ、ハイ! そうなんです! 僕たち、昨日からハンター試験を始めたんです!」
うむ。生真面目系ですねこれは。
事情のほうは普通の内容だった。
人数分の魔導水晶は集まったけれど、せっかくなのでもう少し。
なるほろー?
つまりは君たちはハンター登録試験は合格ってわけだ。
「そんな……まだライセンスを貰ったわけでは……」
サーチ、オン!
チキチキチキ~!
大まかな強さを表示してみる。
この辺の魔獣のつよさを1~3とすると、このパーティーの強さは2~5か。
なんだ、よっぽど油断しなけりゃ後は帰るだけじゃん。
「ふんッ! 当然でしょ。アタシたちがザコ魔獣なんかに負けるワケないじゃない!」
マーメイド?
あ、水人族っていうのね。
強気の魔術師系の女の子。
なんという王道。
この子らさては幼馴染みパーティーだな?
とりあえず一度帰ってメンバーカード貰ってきたら?
そうした方が倒したぶんランクも上がるし。
「そ、そうだよぉ。ね? まずは帰ろうよ~」
もう一人の魔術師の女の子。
エルフか。
装備の感じから回復・補助系のよーな気がする。
いや、日本のゲームならの話ね。
で。
何人かはまだ戦いたいって顔してるな。
あ、お金がいるのか。
ふむ。
そういうことならこれをやろう。
「これは……魔導水晶? いや、でも、これ」
「おお、スゴいな。俺たちが倒したフォレストハウンドとは形も輝きも全然違うな……」
合格祝いにプレゼントしよう。
ギルドに持ち込めば、今夜のメシ代の足しくらいなるだろ。
デュランを名乗る怪しい術師に貰ったって言えばいいよ。
モーリィさんって爺さんに見てもらうといいかもね。
「ありがとうございます! ほら、みんな。とりあえず一度帰ろう。また明日から、今度はハンターとしてがんばろうよ!」
うんうん。
油断しないでまっすぐ帰るんだぞー。