ズバッと救援、したけれど?
防御陣形、輪形陣とでも言えばいいかな?
とりあえず中心に式陣を展開しまして。
術式“癒しの風の音”
「助かった。そして悪いがこのまま手を貸してくれ」
言われるまでもなく。
そのために駆けつけたんだし。
合計、人数は50。
しかし合流した部隊は戦力になるか怪しい。
ケガは治しても、立ち直れるかは別問題。
顔色、悪いもの。
意識したんだろうな、死ぬことを。
わかるよ。
ラービーナと戦ったとき、俺もそうだったから。
それでも30人超えてるけどね!
さぁ、頑張りましょ~。
……
…。
んむ。
なかなか減らないな?
「ジリ貧ですね。この場で粘っても仕方ありません。少々賭けになりますが、戦えない人たちは逃がしたほうがよいのでは?」
「だな。オレたちンとこのルーキーに護衛させれば大丈夫……と、信じたいところだぜ。フェイス、一撃頼めるか?」
任せんしゃい!
みんな、踏ん張れッ!
術式“切り刻む風刃の渦”ッ!
包囲網の一部にドリルの如く。
風の渦巻きで逃げ道をぶち抜く!
よし。
お前ら、死物狂いで逃げろッ!
「みんなぁ、急ぎますよぉ。デュランさんもぉ、気をつけてくださいねぇ~」
離脱完了。
残り14人。
あとは戦いながらゆっくり下がるか?
「アタシらも水晶は惜しいが、命はもっと惜しいからな。タダ働きさせて悪いとは思ってるけどさ!」
「心配いりませんよ。ボクたちはフェイスの提案でスローペースで進めると決めてますからね。さぁ、急いで離脱を―――」
「―――、―――ッ!!」
「―――離脱をしたかったのですが、どうやら簡単には逃がしてくれないようですね?」
「ほぅ、あれがタウルスタイプか。中型二足種は初めて見るが、駆け出しのハンターが手酷くやられるというのも納得だな」
ふーむ。
能力的には、一対一なら問題なく勝てる相手。
相手の妖気をレベルで表すなら20くらいだし。
ただ。
「「―――、―――ッ!!!」」
数が……なぁ?
それに、3匹ほどいるんだよなぁ。強そうなのが。
「素手の個体が通常種だとして、あの石の柱みたいなのを担いでいるのが変異種でしょうか。見た目通りと言いますか、妖気の強さがだいぶ勇ましいですわね?」
味方を逃がした通路から出てこなかったのは気休めになるかな。
できれば俺たちもそこから逃げ出したいけれど。
完全にミス。
初動が遅れたせいで、逃げ道側に変異種が2匹寄ってる。
偶然ではないだろうね。
魔獣、なかなか賢いからな。
このまま眺めてても事態は好転しない。
状況を動かしていこう。
術式“戦士の祈り” “騎士の祈り”
「コイツは……へぇ、攻撃力と霊気のガードを強化か。本当に色々できるんだな、お前は。来てくれなかったらと思うとゾッとするぜ」
それでも不利には代わりないけれど。
つまり、もう少しムチャをする必要がある。
例えば……そうだな、後ろを塞いでいるタウルス変異種2匹、アレの動きを封じることができれば。
「それはそうかもしれないが……おい、まさかデュラン、お前!?」
封じるだけ。
倒すのはたぶんムリ。
だから、早めに助けにきてね?
―――よっしゃ。覚悟完了。
やっちゃるぜーい。
「フェイス! ―――チィッ! みんな、いくぞッ!!」