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ほどほどな訓練日和・その3……が始まらない

「ケッ! 訓練生が調子にのってんじゃねぇよ」


「ま、これに懲りたら態度には充分気を付けることね?」




 独房から出たら先輩たち(正規兵)にシメられました。


 ……ぶっちゃけ。


 霊気のガードで全然痛くもなんともなかった。


 せいぜいイライラという名の精神ダメージが蓄積したくらい。


 どうやら彼ら彼女らは先日の一件が気に入らない様子。


 まぁ、そりゃそうだ。


 国の、軍の偉~い人にあの態度ではねぇ。


 とはいえ、これは予測の範囲内。


 そもそもあの時、姫さまの後ろの取り巻きからメチャクチャ睨み付けられたからな。


 特務大将閣下からの命令か。


 あるいは下が勝手に動いたか。


 さすがに指導ではなく私刑だと想うけれど。


 もっとも、どちらにせよ俺の評価がマイナスに傾いていることには違いあるめぇ。


 侮られるぶんには好都合。


 なにかと動きやすいからね!




「……ふむ、終わったか。悪く思うなよフェイスコード。あそこでワシが手助けすれば、なおさら貴様への風当たりは強まっただろうからな」


 バツの悪そうな顔の教官。


 たぶん、あったんだろうな。過去に。


 良かれと思って、そして想定とは逆の結果になったことが。


 だからきっと、教官の後ろにいるルームメイトやチームメイトを抑えてくれたのも、そういうことなんだろう。


「連中の中では、少なくとも一区切りとなっているだろうからな。しかし……デュラン、よく耐えたものだな。私なら確実に反撃して大事にしてしまっていたな」


 ユリギナ、クールに見えて好戦的。


 わざわざ軍隊に入るくらいだし、まぁ彼女に限らず好戦的なのは多いけれど。




「ですけどぉ、教官殿もわかってたならぁ、ちょっとくらい助けてくれてもよかったんじゃないですかぁ?」


「バ~ロゥ。ワシらだって肝を冷やしながらレグルナルヴァ閣下の説得やっとったんだぞ? 先にルール違反を促す真似をしたのは閣下だといってな。そうでなければ今ごろ連帯責任じゃい」


 おぉ、そういえば。


 ことあるごとに連帯責任と言われてたっけ。


 今回は俺だけの処分で済まされてること、な~んも疑問に思わなかった。


 ごめんなさい、そしてありがとう教官。


 あと。


 あの女の子、レグルナルヴァって名前だったんだね。




 しかし。


 改めて考えると、それでも独房入り3日間ってのは軽いのでは?


 不敬罪ってのは、そんなに軽いもんじゃないだろう。


 地球ではSNSなんかで普通に政治家を批判したりしてるけどさ。


 異世界ではそういう立場的な強さは比較にならんはず。


 ……そう思うと、あの場で“処理”された可能性もあるじゃん。


 怖っ。




「その通り。本来ならば重罪だ。だが不敬罪については余程のことがないかぎり、それがそのまま規定通り適用されることはない。少なくとも将帥クラスの待ったが必ずかかる」


 なんでまた?


 周囲の皆さんも疑問な表情。


「エスタリアは軍事政権ではあるが独裁国家ではない、ということだ。どう言えばいいか……こういう場合、権力による強制力を容易く許すワケにはいかんのだよ。あとはまぁ、貴様のようなバカ者はこの国には必要不可欠なのだ。今の貴様らにはピンとこないだろうがな」


 うーん?


 難しい話になってきた。




 しかし困ったな。


 軽率というか、迂闊というか。


 俺が意地を張った結果、教官が頭を下げる始末。


 しかも下手すりゃ第241訓練兵団が連帯責任で大変だったかもしれない。


 ちょっとナメてた。


 どうしようかな?


 軍隊に染まりきるのは勘弁だけど、開き直るのも好みじゃないし。


 むむむ。

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