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ちょこっと術式指南、水晶召喚式・その1

「久しぶりだな、デュラン・ダール。元気そうでなによりだ。どうだ? エスタリアでの生活には慣れたか?」


 問題ないであります、マルライツァー少将閣下殿。


 いや、ホントにさ。


 メシも美味いし。


 寝床も快適だし。


 教官もまともだし。


「それはなによりだ。特に教導官に問題がないのは朗報だな。たまにいるのだ、立場を勘違いして無意味に訓練生の不興を買う莫迦が。教育として厳しい態度を保つのと、無駄に偉ぶるのではまるで意味が違う」


 一応、人事部でもかなり気をつかうらしいんだけど。


 やっぱり人間だもの、やってみなきゃわからない。


 真面目なヤツだから100パー安心じゃないってのは、なかなか頭の痛い問題なんだろうな。




 それで?


 まさかわざわざ近況を聞きにきたワケじゃないでしょう?


 軍の少将。


 イメージだけども、そんな暇な立場ではないだろうし。


 閣下の後ろに立ってる術師も気になるところだもの。


「当然だな。まぁ、キサマを引き込んだ手前、様子が気になったのも嘘ではない。何故顔に識別番号を付与したのかは知らんが、問題がないならそれでいい。それでだ、本題は()()()()()()()()()()への用向きだ」


 旅の術師の俺に。


 うーん。


 先に断っておくけど、他国の内情についてはノーコメントなんだぜ?


 国への義理はなくても、そこに住む人たちへの恩義はあるからな。


 っても、フィンブルムとルジャナくらいだけど。


「安心しろ、そちらは軍の諜報部の仕事だ。異なる視点からの情報も貴重ではあるが、今日の用事は術式について……キサマが廃村で使っていた召喚式陣についてだ」




 召喚?


 あぁ、護衛代わりにしてた雪オオカミのことか。


 それについて教えて欲しいと。


「そうだ。貴重な技術だからな、もちろん簡単に引き受けるとは―――」


 いいよー。


「―――思っていなかったが簡単に引き受けるのだな。頼んでおいてなんだが、いいのか?」


 別にそんな複雑なコトしてないからねぇ。




 と、いうワケで。


 サクッと説明してみた。


 してみたんだけれども。


「貴方の説明はわかります。魔導水晶の中に存在する式陣については、我々も把握しています」


 と、後ろにいた術師からの返事。


 いやいや。


 それがわかってるならさ、俺が教えることなくない?


「いえいえ! そこから先がまったく進展していないからこそお聞きしたいのです! 式陣も何人もの術師が正確に描き写しているハズなのに、うんともすんとも―――」


 なるほど、描き写しても……描き写して?


 え?


 なんでわざわざ?


「え? なんでもなにも、実験するにも発動させる必要がありますし……」


 いやいや。


 そのまま使えばいいじゃない。


 そこに完成品があるんだから。


「え?」


 え?

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