ばっちり結成! 第241訓練兵団・その2
初日。
特に珍しいことはなく。
ひたすら走るだけ。
教官たちが見守る中、延々とグラウンドを走る集団。
いわゆる「よしと言うまで走れ」ってヤツ。
どうせ日が暮れるまで走らされるだろうと、体力も魔力も省エネで走ってます。
水分補給は認められてるけどね。
そこも監視が付くのでサボりは不可能。
んで。
まぁ、出るよね。文句言うヤツ。
定番の流れ。
いつまで走らせるんだ~とかね。
全員ぶちのめされたけど。
ふたりくらい辞めていったかな。
昼飯は簡単な携帯食料で。
握りこぶしサイズのパン。
中にはオレンジピール? だっけか。柑橘の皮を砂糖と、これはアルコール、たぶん日本酒……みたいな香り。
そしてナッツ類のようなものが入ったのがふたつ。
いや、普通に美味いぞコレ。
いわゆる黒パンなので、見た目はあまりキレイじゃないけど。
ちょっと固いのはご愛敬の範囲。
それから。
さらに夕方までひたすら走る。
語ること、無し。
いや、ホントに走ってただけなんだもの。
そしてやってきました。
楽しい楽しいディナータイム!
献立は……おぉ、パンにシチューが付いてる。
白いスープにゴロゴロの具材。
あ、鶏肉も入ってら。
ちょっと、訓練生のメシにしては豪華じゃない?
「そりゃそうさ。アンタたちはいまから体を鍛えていかなきゃならないんだからさ。しっかり食ってパワー付けなよッ!」
ありがとう、おば……お姉さん。
「号令はいらん! 受け取って着席したものから各自、食事を済ませろ! 気を緩めるのは部屋に戻ってからだ!」
「……はぁ、つ、疲れました……デュランさん、最後までペース、そのまま……でしたね。さすがです……」
「私もぉ~、体力には……それなりに自信があったんですけどぉ~、やっぱり、後半は、バテバテでしたぁ~」
「……はやく、たべて、わたし、ねる」
シドニア君、メリーさん、シズナはだいぶキテるな。
スプーンを持つ手がプルプルしてらぁ。
ほんで。
ユリギナはけっこう普通にしてるな。
「そういうキサマもな。なに、私はお前の霊気の使い方を真似してみただけさ」
俺はハンターたちの真似してみただけなんだよね。
ん?
そう、ここに来る前はハンターギルドにも出入りしてたよ。
俺はハンターじゃないけど。
魔導水晶とか素材の持ち込みだけ。
……ふむ。
こういうの、黙って食えと言われるかとも思ったが。
そこまで厳しく締め上げないんだな。
あるいは、初日だから手加減してくれてるのか。
もっとも、厳しいイメージはあくまで俺の想像でしかないからな。
こうしてメリハリ付けるのが普通なのかもしれない。
ルームメイトの他。
近くに座ってた連中と他愛のない話をしながらのご飯。
んー、平和だねぇ~。
「ふざけんなよッ! まる1日走らせておいてこんなメシ食わせんのかよッ!」
んー、なんか始まったねぇ~。