のんびり訓練生活開始・その4
初日から教官の手荒い歓迎。
でも、そういうの。キライじゃないわよ!
んで。
本格的訓練の開始まで。
各自、施設を利用しての自主訓練。
筋トレなり走り込みなりをこなしつつ、生活リズムを整えろ、と。
ありがてぇ。
なにせ、この前まで寝るも起きるも気分次第。
矯正が必要だと思ってたからな。
もっとも、昨日の夜は疲れでグッスリでしたけどね!
いやー。
あの鬼人族の教官。また戦いたいものだ。
今度は一撃くらいちゃんと当てたいね。
とりあえず。
現在、ひたすらグラウンドを走ってます。
やっぱ軍隊の基本は走ることでしょ。
リハビリをしつつ。
全身に霊気をゆっくりじっくり巡らせて。
「……はっ、はっ、はっ……ふぅ、ふぅ……」
シドニア君も一緒にランニング。
種族的な特性として、犬人族はしなやかな筋肉の付きかたをするらしい。
だからなのか。
なんつーか、跳ねるような軽い走りに見える。
まだ俺のほうが速度にも体力にも霊気にも余裕があるが……。
これ、しばらくすれば逆転しちゃうかな?
それもそれで面白い。
俺、人の成長見るのも好きなんだよね。
もしくは変化するものを見るのが好きなのかもね。
そういう意味では、ルジャナにもちょっと未練。
シャルミール、学園生活は順調だろうか?
フィンブルムの森の牙たちも気になるけど。
あの子は同じ屋根の下で身近に、小まめに面倒見てたから余計に気になる。
アールヴューレは……もともとハンターだからそこまで心配してないんだけど。
ちなみに。
メリーさん、ユリギナ、シズナの3人は別行動。
主にシズナの筋トレをふたりがサポートしてる。
ルームメイトだからといって、いまは必ずしも全員で行動しなければならないというコトではないらしい。
筋トレかぁ。
とりあえずはいいかな。
興味はあるんだけど。
なんでも欲張るのはよくない。
いまは、基礎体力を。
こうして霊気を巡らせて走ってるぶんには、足も特に痛むことはない。
やっぱり戦闘濃度がキーになるかな?
さてさて。
そろそろ水分補給しましょうか。
なに? まだ大丈夫?
はい、ダメダメ!
トレーニングは無理しても意味ないんだよ。
コンディションの管理もできないようじゃ、この先大変だよ。
心配するなよ、少年。
こちらが望もうが望むまいが、教官殿たちが地獄を用意してくれているハズだから。
もしかしたら、雑草どころか、その辺の虫とかも食うことになるかもよ?
「虫って……あはッ、そんな、鳥じゃないんだから……へ? 貴重なエネルギー源に? え、いや、そのデュランさん! 冗談ですよね!?」
さてねぇ。
飢え死に寸前だったのを、ミミズを食べて生き延びたなんて話もあるからねぇ。
……あらま。
シドニア君だけじゃなく、そばにいた訓練生候補たちまで顔が青くなっちゃった。
ま、そういう可能性もあるかもってね。
あくまで俺の知ってる一例だから気にすんな!
もしものときは、毒虫だけは祝福サーチで識別しとこ。