のんびり訓練生活開始・その2
「戦場では男だ女だといちいち気にしていられんからな。死は何者をも区別無く襲い掛かる。男女平等、実に素晴らしいことだろう?」
ニヤニヤ笑う教官。
オタオタ狼狽えるシドニア君。
いいのかコレ、風紀的に。
「これでも教導官だ。訓練生は大勢見てきた。問題を起こしそうなヤツの見分け方くらいは心得ているさ。そういう連中はしっかりひと纏めに固めているから安心しろ」
……。
…。
「それではぁ……自己紹介くらいはしましょうかぁ。私、メリーグリメルと申しますぅ。メリーと呼んでくださぁい」
なんだか時間の流れがゆっくりな魔人族。
「…………ユリギナだ」
言葉数少ない感じにクールな蛇人族。
「えへへ、シズナだよ~。シズナ・ミズカズラ。よろしくね~!」
コミュニケーション能力高そうな兎人族。
「え、えぇと、シドニア・グリンシールです。その、ヨロシクお願いします」
貴重な同性、なんだかオドオドしている犬人族。
あと俺。
教官曰く、この5人が基本的なチームになるそうだ。
んで。
本格的な訓練開始は1週間後くらい。
登録から1週間後、というワケではなく。
1ヶ月くらい前から特定の日までの間に集まった訓練生、まとめてその日から訓練開始。
めでたく第241訓練兵団として教導官の皆々様にシバかれるワケですね!
「……それでぇ、ここが食堂ですよぉ。食事は決まった時間ですがぁ、お茶とコーヒーはある程度自由に飲めるんですぅ。贅沢ですよねぇ~♪」
チームで一番の古参、メリーさんによる案内。
古参といっても数日ぶんだけなんだけど。
「シドニアくん、若い、若いね~♪ ねぇねぇ、いま何歳くらいなの?」
「あ、その、次の誕生日で13才になります……」
「若いッ!?」
若いッ!?
いや、マジか~。
日本なら中学生とかだぜ?
それで軍隊生活とか……異世界、容赦ねぇな……。
年長者として、守護らねば。
ほどほどにね!
いや、ほら、あんまり構っちゃうとね。
成長の機会を奪っちゃうからね。
死なない程度のケガは経験値ですわよ?
てか、そういうもんなのか? 年齢って。
「……規則では、12才から国防軍に参加できる。もっとも、他国との戦争に参加できるのは19才からだ。そういう意味では、シドニアは当面は安全なほうだろう」
本人の能力や性格次第では、そもそも直接戦闘に関係ない部署にも。
ほー。
イロイロ考えてるんやなー。
と、そんな風にイロイロ考えている間に。
やってきました訓練棟。
スレンダーな鬼人族の女の人、たぶん教官。
が。
訓練生であろう皆の衆と組み手中。
うん。
まさに無双状態。
なるほど。
1週間後には俺もああしてぶん投げられ―――
「よーし! 次は……そこッ! そこの顔文字ッ! お前だッ!」
今日から俺でした。