じっくり身体を労りながら・その4
さらにしばらく。
ようやく歩けるようになりました。
やったぜ。
もはや監視役だか介護役だか区別のつかないレディーの案内のもと、街へ散歩に行くことに。
いやぁ。
トイレで移動するくらいで、治療院から全然外に出てないからね、楽しみだね!
出てないっていうか出られなかったんだけどね!
ちなみに。
なぜか着流しにサンダルという、日本の夏みたいなスタイル。
でも日本でも入院してる人の服って、アレだ。甚平みたいな感じあるよね。
軍の関係者のエリアから一般外来エリアへ。
ちょっとレトロ感あるけど、かなり病院だよこれ!
運ばれてきたときは担架の上だったからねぇ。
天井しか見えてなかったんだよね。
で。
改めて見る外の景色は……ほー、縦に長い。
建物が縦に長いですねぇ。
「何者をも歓迎しよう。と、流れ着く人々は基本的に受け入れる方針なんですけど……そうなると、横に広げるのにも限界がありますので」
これもお国柄か。
見た目はこれまた、日本のひと昔前のアパートって雰囲気。
でも、ここは不思議パワーの存在する異世界。
たぶんイロイロと中身は快適かもしれん。
治療院の病室も普通に過ごしやすかったしな。
街の中央には大きな地図が。
そういや、地図とかあんまりじっくり見たことないな。
どれどれ?
んー。
エスタリア……が、この範囲。
東が4国同盟、トドロキの国。
北がブルム帝国。
この間までいたルジャナ帝国はそのさらに北。
ふむ。
こうしてみると。
かなりの距離を吹っ飛ばされたんだな。
『まさか転移門を切断された反動まであるとはなぁ。さすがのワシもあのときは焦ったのぅ』
ルジャナの帝都での戦い。
氷の結界で転移門とのエーテルリンクが切れたこと、忘れてましたねぇ!
戦闘の反動も死ぬかと思ったけど。
歪んだ空間に飲み込まれたときは……ホント、もぅ……。
エスタリアの廃村に飛ばされたのは、正真正銘ただのラッキー。
ちなみに使い魔のリンク切れの反動は未だに不明。
不安しかねぇ。
とりあえず。
治療院、再び。
ただ平和な街を歩いただけ。
それでもいまの俺には結構な負荷となるらしい。
うーむ。
リハビリ、マジでどうしようかな?