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またまた新たな旅立ちを・その1

「デュラン・ダールだな? 帝都で発生した事件の関係者として貴様の身柄を拘束する。これは皇帝陛下の正式な勅命である。大人しく我々に従え」




 幻想種とのバトルから数日。


 反動に怯えて祝福を消すタイミングを逃しながらのんびりしていたある日のことでした。


 帝都で発生した事件。


 それだけ言われてもなぁ。


 ずっとプロミネーズ東区にいたのに(大ウソ)


「たしかに貴様はここにいたかもしれない。だが問題は貴様が持ち込んだ魔導水晶が暴走したことだ。貴様が未熟な処理を施したせいで帝都の魔導院に被害が出たのだ、責任逃れなど許さんよ」


 なるへそ。


 俺が危険物を持ち込んだのが悪い、と。


 ふむ。


 まぁ持ち込みについては事実。


 けど、その後のことなど知らんよ。




 仮にその暴走とやらがこの街で起きたならともなく。


 持ち出してからの責任なんざ知ったこっちゃない。


 未熟な処理を、と言うが。


 その未熟な処理に暴走するまで気付きもしなかった連中も、それでなかなかどうしようもないだろうに。


 女神チート以上の封印を人間に用意できんのかは知らないけどね~。




「ふんッ! 貴様の下らん言い訳など求めておらん。おい、お前たち、ヤツを取り押さえろ」


「「ハッ!」」


 まぁね、こうなるだろうとは思ってたけどね。


「さぁ、大人しく―――ぴぎゃ」


 顔面に裏拳一発。


 景気よく転がる兵士。


 完全に無防備だったからね、クリティカルだよね。


「やはり抵抗したか……どうやら貴様が4国同盟の工作員だという密告は本当らしいな?」


 ほう。


 4国同盟とな?


 4国同盟。


 ……バアちゃん、4国同盟ってなに?


「南東にあるグローインド、フィンブルム、トドロキ、パシオーネの4国のことさね。アタシが生まれたころにはもうドンパチやってた、まぁルジャナ帝国とは長いこと因縁がある連中だねぇ」


 野次馬にギルマスがいたので聞いてみた。


 さすが年長者。知識は豊富。


 ……あ、ハイ、ルジャナ国民なら普通に知ってる。


 んで?


「貴様がフィンブルムからこの国へやってきたことはすでに調べがついている! 誤魔化そうとしてもムダだッ!」


 はぁ……。




「なぁ、デュランのヤツよ、別に隠してなかったよな?」


「そもそも最初に自分から話してましたからね」


「政治とか国の関係とかマジで知らないんだなぁ。ホンモノの研究バカだったんだな!」


 バカと言われた。


 しかし反論できん!




「さて、坊やがスパイかどうかは別としてね。この街のハンターギルドのマスターとして、アンタの態度は見過ごせないねぇ?」


 ラービーナの魔導水晶。


 それは魔導院なる連中がギルドから持っていった物だ。


 それも、皇帝の名前を出してまで。


 権力を振りかざして持ち出したクセに、トラブル起きたら責任は押し付けてくる。


 ギルドマスターとしては黙っていられない、と。


 たしかに前例を出したら面倒なことになりそうだな。




「ハンターごときが国の大事に口出しをしないで貰おうか? 私はいま、陛下の命でわざわざ出向いているだ。私に意見するのは陛下への意見も同義。不敬罪で連行されたくなければ黙っていろ」


 なにやら羊皮紙らしきものをヒラヒラ。


 なんとなく豪華な判子? みたいなものが見える。


 任命書とか、なんかそういう系かな。


「そうかい。皇帝陛下の御言葉かい。なら仕方ないね」


 ぜんぜん仕方ないって表情じゃないね?


 声も怖いし。




「さて……そういうワケだ、デュラン・ダール。貴様は私に逆らった。つまりは皇帝アンタレウスに、ルジャナ帝国に敵対したということだ。総員、抜剣。生死問わずだ。そいつを確保しろ」


「「ハッ!」」


 まったく。


 ニヤニヤしちゃってまぁ。


 コイツらは……サクッと終わらせてもいいかな?

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