じっくり実験……ならぬ食材集め
エビチリ食べたい。
昨日夜更かししたせいか、スパイシーな味わいを欲してる。
うむ。
今日のお昼はエビチリにしよ。
今から温水湖にダッシュすれば昼間まで余裕っちゃね!
そうと決まればまずは食材確認。
タマネギ、よし。
トマトケチャップ、よし。
エビ、なし。
白トウガラシ、なし。
……。
あるぇ?
トウガラシも無いのか?
「白トウガラシ? ……あー、たぶんウチのオヤジどもだわ。麦酒の空きビンが転がってたからねぇ」
素焼き、あるいは素揚げのトウガラシを酒のツマミに。
ルジャナ帝国では夜の定番だったかな。
俺は……そもそもアルコール別になぁ。
っと。
それなら仕方ない。
買いに行きましょ。
「おでかけー? わたしもー、いくのー」
お? よしよし。
ちゃんと寒くない格好していこうな~。
……。
うむ。
それではこれより、白トウガラシお使い任務に出発する!
「にんむー、しゅっぱつー。おー」
と、いうわけで。
ちびっ子だっこしてレッツゴー。
「はいよー。いってらっしゃ―――あぁ! デュラン、ちょい待ちッ!」
はい?
「っとぉ……かぁーッ! やっぱりッ! あのクソオヤジどもッ! デュラン、ゴメンよ~、トマトのピクルスも買ってきてくれないかい? あのアホども、スッカラカンにしやがったときたもんだ!」
はい。
トマトのピクルスも晩酌のお友達でさぁ。
……。
「白トウガラシ……白トウガラシ……うぅん? うん、デュランちゃん。ゴメンなさいねぇ~。在庫、切れてるみたいなの~」
なん……だと……?
んー。ないのはしょうがない。
トマトのピクルスだけキープしてもらおう。
支払いだけ先に済ませましょ。
「お袋~。やっぱ倉庫にもどこにもねーや。ワリィなデュランさん……ん? トマトのピクルス買ってくのか? よし! それならお詫び代わりにオレが配達しとくよ!」
働き者で親孝行とは。
いい息子を持ったじゃないの。
さて。
女の子を抱き抱えたまま串焼きカステラなどを食べつつ。
いくつかの雑貨屋を巡りまして。
なんと!
白トウガラシ!!
……買えませんでした~。
ナンテコッタイ。
「畑で栽培できんモンはなぁ、たまにこうなるんじゃよ。それにホレ、白トウガラシじゃろ? 腐れ沼に行きたがるハンターはあまりおらんからのぉ~。まぁ、苦労をかけるぶん、なるべく高値で買い取るようしとるがね。カッカッカ!」
なるへそ。
しかし困った。
ないと思うとなおさら食べたくなるのが心情ってもんよ?
と、いうわけで。
「く、腐れ沼かぁ……いや、たしかに白トウガラシはな、この辺じゃあそこでしか採れねぇがよ」
「何を言っているのですジンガー! 市民の皆様が困っているのですよ! 我々ハンターがそれを解決しなくてどうするのですかッ!」
「ちょ、おまッ、落ちつッ!」
プリーストっぽい格好のネーチャンがジンガーをぐらぐら揺らしてる。
そういやあの人、大酒呑みだっけ。
「はっはっは! 呑兵衛には捨て置けん問題だろうからな。よかろう、我ら“コールドアイ”はデュラン君の護衛を引き受けようかの!」
「私は別に酒は呑まんが……料理に使うぶんも無いのは問題だな。しかし……装備の劣化が、な。どうする?」
「いいんじゃねーのー? 修理待ちはアタシらもだし、予備の装備は余ってるし」
「それに、同じ寮のよしみですしね! それにぃ? そんな状態ならさ、白トウガラシも色付けて買い取りしてくれるかもよ!」
「エビチリ、うん、食べたいね……アレは、オイシイからね……」
はい。
“氷のバラ”の皆さんも参加決定、と。
同じ屋根の下のよしみ。
ありがてぇ。
「あー、デュランさん。腐れ沼、ボクたちも連れていってもらえますか? その、クラスCになってから一度も行く機会がなかったもので、その」
「どうせならベテランと一緒に、ってさ。なぁ、頼むよ~! 戦闘はちょっとアレかもしれないけどさ、雑用ならお任せだぜ!」
「ソレ、意味あるのかしら? 私たちも戦わないと経験値にならないんじゃないの?」
「あはは……え、えーっと、がんばりますから、その、お願いしますッ!」
クラスC、このあいだランク16になったばかり“ホワイトドロップ”も参加決定。
あとはアールヴューレとシャルミールか。
あのふたりにも声かけとくか。
黙って出掛けたら拗ねそうだし。
しかし……大所帯だな。
場合によっては例の式陣を展開してみようかとも思ってたんだけど。
まぁ、いっか。
のんびりと食材集めに行きましょう!
次の投稿は一週間後らへんになると思います。
でも、もしかしたら途中で別視点のお話を投稿するかもしれません。
それはそれ、として。
閲覧、ブクマ、評価、いつもありがとうございます。