ぼちぼちと異世界へ
『……と、いうワケじゃ。すまんのー、ワシら女神と言われちゃおるが、所詮はこの宇宙でのみの力でなぁ。他所の次元からのイレギュラーにはとんと役立たずなんよ』
元の日本に帰ることはできるのか?
返答は無情にも。
なんてこったい。
『ワシらも、ワシらを創造した上位存在も、どうにも困っておってな。せめてもの詫びとしてワシの加護をやるけぇ、スパッと気持ち切り替えてくれんかね?』
あ、転移特典はあるのね。
それは助かる。
『ワシの加護は……祝福の加護、じゃ! 自由自在にモノに力を与えることができるぞ! その辺の小石一粒でも、ポンとひと投げ銀河もドッカーンッ!! ……じゃ』
なにそれ怖い。
『ま、そういうこともできるってハナシやね。安心せい、不便のないようリミッターは付けちゃる』
………。
……。
…。
女神さまにボディを新調してもらいました。
魔力や霊気という概念があるこの宇宙では、俺の身体は実体を維持できないらしい。
転移ってか転生した感じだな。
本格的に日本とサヨナラした気分。
うむ。
クヨクヨしてもしゃーない。
いざ、異界の大地を踏み締めて!
とりあえず女神さまにもらった“祝福の加護”を試す必要がある。
と、いっても使い方は魂で理解したので問題ない。
はい。
直接ね、女神さまから情報を書き込まれました。
魂で理解(物理)みたいなもんだ。
……魂なのに物理とはこれいかに。
とりあえず適当に落ち葉を一枚。
これを祝福して“霊気を通すとフード付のコートになる”性質を与える。
魔力ではなく霊気、あるいは霊力。
人間が魔力を取り込むと自動的に霊気に変換されるので、そこを間違えると思うように使えないので注意だ。
んで。
できました、コート。
いいね。
コスプレ感スゴいけど、正体不明の強キャラっぽいぽいね!
マンガとかでありそうなコーディネートでも、この世界は中世ファンタジー色が強いらしいので問題ない。
次。
適当に小石を拾って“霊気を通すとカツサンドになる”性質を与える。
うん。
いい感じにイメージ通りのカツサンド。
『そうゆう時は、できたての、と頭に付けるとええぞ!』
ほほう?
では、またまた小石を拾って……そうだな、飲み物で“温かいコーンスープになる”性質を。
……おお。
できました、コーンスープ。
の液体だけ。
今度からカップにもなるよう祝福しよう。
元が小石でも味は美味しい。
とりあえず飢え死にの心配はゼロか。
このまま秘境に引き込もって静かに時を過ごすのもいいけれど……。
せっかくだしな。
いろいろと世界を楽しもうか。