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執事は困惑する。

セオドア視点です。


「セオドア、ちょっと。」


聞き覚えのある声。イヤイヤながら振り向くと、そこにはお嬢様付きの侍女、ネイアの姿。


「ネイア…。すみません本日はもう休むつもりですのでまた明日に───」


「何を早口で逃げようとしてるのですか。大体あなた、明日は休みでしょう。」


「では明後日に。」


「急ぎの話です。明後日に聞けば後悔しますよ?」


面倒な…、話を聞くしかないのか。


このネイアは私と同じく貧困街(スラム)出身者で、私とはその頃からの付き合いの幼馴染みでもある。はっきり言って苦手な女だ。

いつだったか旦那様が「貧困街で他に使える人材はいないか?」と聞いてこられたので紹介したのだが、何度それを後悔したことか。


それでも優秀な人間なのは確か。男爵家の令嬢という身分のため、遠い領地までお供できないお嬢様付きの侍女の後任にネイアを推したのはこの私だ。必然として接する時間が増えるのも致し方ない。


内心の苦い思いをかみ殺して、話を促す。



「一体なんのご用ですか?手短にお願いします。」


「明日の午後、お嬢様とデートしてきてください。」


「………なんですって?」


失いかけた言葉をなんとか絞り出せた。

聞き間違いか?今、ネイアは何を。


「耳が遠くおなりですか?明日の休日はお嬢様がデートしたいと仰っているのです。」


「な、にを、馬鹿なことを。そんなことお嬢様がお望みになるはず……、」


「ひじょ~~~~~に遺憾ながら、間違いなくお嬢様のお望みです。」


「!?」


頭が真っ白になった。

お嬢様が、望んだ?私に?

その間もネイアが詳細を伝えてくるが、内容は入って来るものの思考が停止したままだった。


「では明日、お嬢様を迎えに来て下さいね。それでは。」



言うだけ言うと、さっさと去っていくネイア。

私は暫くその場に佇むしかなかった。


───着る物に無頓着な私が『デートに来ていく服』など持ってないと気づき頭を抱えたのは、その十数分後だった。


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