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闘技場の解説者  作者: 破壊と絶望の申し子
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目的地に到着

4/8 大幅に修正しました。

家を出ると、石畳の地面に建つ数多くの大きめの建物が目に広がる。ここアークエイジ王国にある王都フィラリオは数ある都市の中でも最も規模が大きく、王宮を最奥に三重構造の作りになっている。内側の層は貴族層となっており、内壁と強固な門によって相応の身分か、許可証がない限り入る事は出来ない。貴族は出入り自由である。真ん中の層は平民層であり、ここもまた内壁があるが門は常に開門されており、緊急時には閉まるようになっている。外側の層は道具屋や武具店など、探険者向けの店が多くなっている。これから行く場所もこの近辺にある。ちなみに今住んでいる場所は平民層だ。


目的の場所に向けて歩いていく。今日は晴れていて、ぽかぽか暖かい春の陽気だ。ただ歩いているだけでも、なんとなく心が弾んでいく。30分ほどで少し遠回りになったものの、目的地に着く。目の前にある探険者組合フィラリオ支部がそれだ。扉を開けようと近づいたところ、中から勢い良く出てくる3人組が現れた。


「融通の利かないおばさんだなまったく」

「ほんとだな、僕たちも活躍できるだろうに」

「まあ仕方ないわね。規則だし」


喋った順に年が近そうな金髪の男と黒髪の男、そして緑髪の女である。金髪が俺に気付いて話しかける。


「お前も探険者にしてもらおうとここに来たのか?やめとけやめとけ、全く取り合ってくれないから。俺たちは養成学校の中でもかなり優秀で駆け出し探険者ぐらいの実力はあると思うんだがな…」


ぶつぶつと文句を言っている。よく見ると3人とも赤い制服を着ている。養成学校の生徒なのだろう。正式には探険者養成フィラリオ校と呼ばれ、平民層にある。


「俺はちょっと仕事で探険者カードが必要なんだが、もらえないのかな?」

「ん?そうなのか?少なくても養成学校の卒業生じゃないと難しいと思うぞ」

「そうなのか、ここに来たのも最近だからよく知らなくて」

「は?田舎者か?何も知らないようなやつが探険者になれると思っているのか?」


黒髪が話に入ってくる。何だか少しイライラしているな。どうやら田舎者が組合に押し掛けることがよくあるらしく、無駄な犠牲を増やさないためにも規定が厳しくなったらしい。


「コラ、ブライル。何で喧嘩腰なのよ。失礼じゃない!」


緑髪が黒髪を咎める。黒髪はすぐにでも探険者になりたいらしく、足を引っ張られているように感じているようだ。根は悪いやつじゃないと、謝罪をされる。


「まあとにかく、俺はここに用があるから。それじゃ」

「あっおい!」


金髪は引き止めようとしたがここにいても仕方がない。俺は無視して扉を開けた。




―――ロイが扉を開ける少し前。


「いいじゃないか、試験受けさせてくれても。養成学校の中でも俺たちかなり優秀なんだぜ?」

「規則ですので。それにまだ未熟な者には受けさせる訳にはいきません。命に関わりますので」

「実力を見てから言ってくれよ。俺たちは並の探険者ぐらいの強さはあるぞ!」


(めんどくさい…)


オレリア・カストレイヤは最近こんな輩がよくやって来てイライラしている。


見習いの生徒が探険者並の活躍が出来る訳がない。実際に魔物との戦闘経験もほとんどなく、厄介な魔物との遭遇もないからそんな事が言えるのだ。


「もういい。行こうぜ、お前ら」


ようやく金髪は諦め、連れの2人と共に外に向かって歩き出した。


そうして3人が出口の扉に手をかけた時に信じられない言葉を耳にする。


「融通の利かないおばさんだなまったく」

「ほんとだな、僕たちm……」


……………今、なんて言った?お、おば?おばさん?

聞き間違いかな?私まだピッチピチの27なんだけど。


オレリアはこめかみに青筋を立てて、頬をピクピクさせる。



扉を開けて中に入ると、清潔感のある空間が広がっていた。外から見た通り中もかなり広く、様々な依頼の紙が貼ってある場所や受付、他にも色々な施設が充実している。椅子やベンチなども数多くあり、座りながら今後の予定を話合ってる探険者風の人たちもちらほらいる。みんな顔を青ざめているのが気になるが。受付の人はまだ朝早いため1人しかいない。探険者登録をするため受付に向かうが、みんなが青ざめている理由を知ることになる。


「探険者組合フィラリオ支部へようこそ。どのような御用でしょうか?」


…笑顔だ。髪は薄ピンクで涙袋のあるお姉さんで、スタイルも抜群の美人さんだ。だがこの圧倒的な威圧感はなんだろう。下手なことを言ったら殺られてしまいそうだ。彼女の後ろにドス黒いオーラが見える。な、なぜだ…?


「あ、あの探険者登録をしたいのですが…」


ピクっとオレリアの眉が笑顔のまま上がり、こちらに対しての威圧感が増すが、ふと俺の体を確認するようにジロジロと見る。


「茶髪の君…、あなたもしかしてアルさんが言ってたロイ君?」

「……!よく分かりましたねそれだけで。そうです、ロイ・フロイスって言います」

「やっぱり。なんとなくアルさんに雰囲気が似ているからね。私はオレリア・カストレイヤ。よろしくね、ロイ君」


オレリアは手を差し出す。手を握り握手をするが、彼女の自然な笑顔を見て思わずドキッとしてしまう。


「ん?どうしたの?」

「い、いやなんでもないです」

「それで、探険者登録だっけ?ある程度アルさんから事情は聞いているから融通はきかせるけど、身体能力測定はしないとね。あの階段から地下に行って測ってきてくれる?」


そう言って階段を指差す。


「わかりました」

「まあ、アルさんが大丈夫って言っていたから大丈夫だと思うけど、あまりに結果が悪いとどうしようもないから頑張ってね」

「は、はい。わかりました」


さすがにここで追い返されたらたまったものではない。気合いを入れなければ。





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