平穏そして
目を開けると朝だった。今日もいつもと変わらない日常が始まる。
寝室から出ようと寝ぼけなまこでドアノブに手をかけたときまだ覚醒しきっていない嗅覚に食欲をそそる香りが届く。ドアを開けると匂いの正体であるスープが2つ。そしてもう椅子に座っている少女が1人。
「おはよう」
少女がかけるその言葉を聞きながらスープをのぞきこむ。
「おはよう、エルメ。お、今日はキャベツのスープか」
「さあ、食べよう」
少女が椅子に座るように促す。
「おっと、そうだな」
いつのまにか目は完全に覚めたようだ。
食事前の短い祈りの時間。
また1日が始まる。
腹の虫が鳴く。太陽の位置的にもうそろそろ正午だろうか。本来であればもう少女に作ってもらった弁当を食べているはずなのだが肝心の弁当を家に忘れてしまったのだ。これまでにも弁当を何回か忘れてきてしまったことがあるのだが必ず少女がここまで持ってきてくれる。前にここは男の足で走っても十数分かかる場所にあるのだから1人だと危ないので持ってこなくてもいいと言ったのだが、自分がやりたい事だからと断固として拒否された。今回も彼女はくるだろう。せめてもとして小屋の外で待つことにした。それから数十分、少女は手に弁当の入っている籠持ってきてくれた。
「もう!お弁当。忘れたでしょ」
少女は肩で息をしながら言う。
「ごめん。うっかりしてたよ」
そう笑いながら答える。
そこから2人で弁当を食べていたのだが用事あるといって帰ろうとする。
送っていこうか、と聞くと遠慮すると言われた。
もと来た道を1人で歩く彼女の背中を見送り、そのまま仕事に戻る。
次の話から物語の核心に触れていきます。モチベが回復したので頑張りたいと思います。
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