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物語B 生まれ変わり

今回が最終部分になります。

「めでたしめでたし」と昔話みたいに締めくくった風奈姉ちゃんは、足を地面につけてブランコを止めてから、満足したように大きく息を吐いた。


「めでたくはないんじゃないかなあ」


 僕が隣でブランコをこぎ続けながら言うと、


「いいのよ。こう言ったほうが、お話が終わった感じがするでしょ?」


 相変わらず適当なことを言っている。


「で、どうだった? 感想は?」


 興奮気味にそう訊かれても、「よくわかんないよ」としか答えられない。

 だって、一週間以上も前に聞いた話はほとんど忘れていたのに、いきなり続きから話されても困る。僕がそう言うと、


「何よそれ・・・。あんたが続きを聞きたいって言うから話してあげたのに。覚えていないんだったら、最初に言いなさいよ」


「言ったよ。それなのに風奈姉ちゃんがどんどん話を進めたんじゃないか」


「相手に伝わってなかったら意味ないじゃない」


 まるで僕が悪いみたいに言ってくる風奈姉ちゃんに文句を言おうとしたけど、我慢した。大人の対応ってやつだ。


「まあいいわ。最後までおとなしく聞いていたから許してあげる」


 風奈姉ちゃんはそう言ったけど、実は途中で飽きて、話はほとんど聞いていなかった。もちろん、それは言わないけど。

 ただ、最後のほうは少しだけ聞いていた。生まれ変わりの話をしていたはずだ。


「動物が死んだら天国か地獄に行くんじゃないの? 生まれ変われるの?」


「それは私に訊かれてもねえ。でも、生まれ変われるかもって考えたほうが楽しくない?」


「もし生まれ変わったとしたら、今の記憶と前の記憶がごちゃごちゃになって、大変そうだね」


 僕がそう言うと、風奈姉ちゃんは少しだけきょとんとして、感心したような顔になった。


「なるほど・・・そういうこともあるかもしれないね。でも、もしかしたらあんたも生まれ変わって今のあんたになっているのかもしれないけど、前世の記憶とかないでしょ? きっと、生まれ変わったら全部忘れちゃうのよ。ただ、もし覚えていたとしたら―――」


 何かを思い出すような顔をしていたけど、もちろん僕は風奈姉ちゃんが何を考えていたのかわからない。何も考えていなかったんじゃないかな、と思っている。


「少しだけ、おもしろそうね」


 ふうん、と適当に返事をしておいた。


「そんなことより、僕は天国がどんなところなのか見てみたいな」


「あ、それは私も気になるかも」


 風奈姉ちゃんはそう言って立ち上がると、大きく伸びをした。


「よし、お話も終わったし、私はもう帰るね」


「僕に報告しなくても、好きな時に帰っていいよ」


「相変わらず愛想がないわねえ・・・」


「アイソ」の意味は分からなかったけど、風奈姉ちゃんに聞くのは嫌だったから聞き流しておいた。

「じゃあね」と言って、僕に背を向けた。そのまま公園を出ていくと思って見ていたら、風奈姉ちゃんは辺りを見回していた。


「どうしたの?」


「ん? えっとね・・・」


 しばらくきょろきょろした後、はっとしたような顔を見せたと思ったら、なぜか照れたように笑った。


「・・・何か探しているの?」


「いや、もう見つけたんだった」


「暗くなる前にあんたも帰りなさいよ」と付け足して、今度こそ帰ってしまった。

 風奈姉ちゃんが何を言っているのかさっぱりわからなかったけど、変なことを言うのはいつものことだし、あまり気にしないことにした。


 ジャングルジムのてっぺんに、鳥がとまった。見たことのない鳥だな、としばらくの間眺めていたけど、またどこかへ飛んで行ってしまった。

 ・・・そろそろ僕も帰ろうかな。

 ブランコから降りて、出口に向かう。途中で鳥が飛んで行った方向を見たけど、もう見えなくなっていた。

 今度、図鑑で調べてみようかな。そんなことを考えながら、帰り道に着いた。



 公園からは、たくさんの笑い声が響いている。

あとがき



どうもみなさん、ごきげんよう。ぜぶーくです。

物語を終えてあとがきを書くのにずっと憧れていたので、ものすごく感動しています。本当は一話丸々あとがきとして使いたかったのですが、さすがにやめました。


ちゃんと物語を考えたのはこの作品が初めてなのですが、創作の大変さを改めて実感しました。文章の中におかしな点や矛盾している箇所があったかもしれませんが、温かい目で見ていただけたのならとてもありがたいです。

あと、一つの作品を仕上げた今、ちょっとした達成感に包まれているところです。


また物語を作る際には、今回の失敗を直しつつ、さらにおもしろいと思ってもらえるような作品にできればと思っています。


気合いを入れてあとがきを書き始めたのに、あまりおもしろいことを書かなかったのが悔しいですね。


それではみなさん、ごきげんよう。

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