三話
飲酒の場面があるのでR15にしました。お酒は二十歳になってから飲みましょう。
スティとフィリップは二十歳以上になっていますので問題はないです。
ほろ酔い気分で焼酎のお湯割りをもう一杯頼んだ。既に、時刻は夕刻を過ぎて宵の口になっていた。
俺は焼酎のお湯割りを三杯飲み、フィリップも麦酒を四杯飲んでいた。
「…なあ、スティ。お前の妹さんていくつなんだ?」
「…しつこい。お前に答える義理はない」
睨み付けながら答えるとフィリップはつれないなとぼやいた。麦酒をまたあおる。
「親友なのに冷てぇよな。お前の妹さん、小さい時に会ったけど。すんげえ可愛いかったよな」
「…だから、うるさい。何でいちいち、お前そんなこと覚えてるんだ」
「いいじゃねえか。スティ、他に誰かいい子いたら紹介してくれよ。それか、娼婦の姉ちゃんのとこにでも行くか?」
「……だから、うるさい。俺は女には興味ないんでな。お前みたいにとっかえひっかえしてねえんだよ」
声を荒げるとフィリップはそんなに怒ることないじゃないかと言った。俺は無視してお湯割りを一口飲んだ。
まだ、何か言ってくるフィリップを放ってお湯割りのコップを置いた。立ち上がるとフィリップの頭を小突いた。
「フィリップ。もう、帰るぞ。寮の門限に遅れる」
「えー。いいじゃねえか。まだ、俺は飲んでいたい」
「…とにかく、帰るぞ。お会計を頼む」
声をエーリカさんにかけるとこちらへやってきてくれた。
「…ああ、もう帰るんだね。お会計だったら、ちょっと待っておくれ」
エーリカさんが厨房から出てきて店の入り口近くにある支払い場まで案内する。そこで俺はお金を財布から出した。フィリップも同じようにしている。
「…スティの坊やで銅貨二十枚でフィリップさんは銅貨二十五枚だよ」
「じゃあ、これくらいか?」
そう言いながら銅貨を言われた分だけ出した。フィリップも唸りながらも銅貨を出した。「あいよ。二人ともぴったりだね。ありがとうよ。また、来ておくれ」
笑顔でエーリカさんは送り出してくれる。俺はフィリップを無理やり引きずりながら店を出た。
寮に帰るとフィリップはぶつくさと文句を言いながらも自分の部屋に帰っていった。俺も戻る。
ドアを閉めて大きくため息をついた。今は無性にルーシーに会いたい。彼女は竜だが嫌なことがあった日は慰めてくれたりしていた。人の女性もいいがあまり関わりたいと思わない。以前、そう母に言ったら本気で心配された。
父にも怪訝な表情をされたような。そんなことを考えながらもベッドに体を沈める。思ったよりも酔いが回っているらしい。目を閉じたのであった。
妹のことについてフィリップはしつこく聞いてきたが。はっきりいって、あんな奴にうちの妹を紹介したくない。嫌気がさして仕方がないのだ。絶対に妹の恋人には真面目で誠実な奴の方が良いと思ったのであった。