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少年と少女
薄暗い部屋。
その中央に配された椅子には、一人の少年が座っている。さらにその傍らには、一人の少女が立っていた。
少年の顔は、机の上の蝋燭の炎に照らされている。彼はうっすらと微笑んで言った。
「もうすぐであの学園は僕のものだ。そうだろう?翔華」
「………」
翔華、と呼ばれた少女は何も言わない。しかし彼女の表情からは、少年の言葉を否定しているような気配は感じられない。
少年がふいに立ち上がった。
「じゃあ、行こうか。」
少年は微笑んでいる。
翔華は蝋燭の炎を吹き消すと、少年と共に部屋を出た。
部屋が暗闇に包まれた。