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世界一不憫な俺と恋多き彼女

作者: 彩音

俺の名前は鈴木翔太。


東京の三鷹に住んでいて、都内某所の中小企業で営業している。

身長は普通、顔も普通、頭も普通。趣味は寝ること。特に何の特徴もない普通の25の男だ。


あ、そうそう、一つだけ特徴があるとすれば人より記憶力がいいことかな。

ま、勉強面では全く役に立たないんだけど。なんていうのかな、人の顔とか、昔の思い出とかそういう方面の記憶力はあるんだ。


・・・お陰様でそれなりに友達付き合いは充実しているし、仕事面でもそれなりにうまくやって行ってる。


特に何の変哲もない、平凡な男の人生。

これから話すのはそんな男の20年に渡る片思いの話だ。


--------


俺にはめちゃくちゃ美人の幼馴染がいる。

名前は中嶋千奈美。俺と同い年の25歳。

彼女は都内某所のIT企業の事務をしている。



彼女に出会ったのは俺が5歳の時。

たまたま同じ保育園の同じクラスになったことがきっかけだ。



初めて見た時、俺は彼女の美しきに見惚れてしまったのだ。

だけど、まだ5歳のガキんちょだったから、その頃は普通に仲良く遊んでいる友達だった。


彼女は昔からすごく甘えん坊で、ワガママで、気分屋で、小悪魔的な性格だった。

まさに魔性の女だ。

怒ると手が付けられなくなるし、機嫌が悪くなると喋らなくなるし・・・だけど、彼女のくるくる変わる表情を見ているのは飽きなかったし、彼女のワガママを聞いてんのも苦痛じゃなかった。



俺たちは小学校高学年くらいまでは友達だった。

だけど、そう、その辺りくらいから男とか女とか、そういうの周りが意識しはじめて、自然と遊ぶ回数が減っていった。



中学になってからは、あいつの事を完全に「友達」として見られなくなってた。

つまり、まあ、恋として自覚したというわけだ。


だけど、美人な彼女の隣に立つのは敷居が高すぎて、俺はまあ、幼馴染という特権を利用して、さりげなく彼女の面倒を見ていた。

幸い、彼女はドン臭くて、勉強やら何やらあまり出来ない方で、いつもテストの点数がヤバかったので、テスト前にはいつも俺に勉強を教わっていた。



「翔太ぁ、勉強教えて!」



彼女はいつも俺の元に来てくれた。

一回、彼女にどうして俺なのか聞いてみたことがある。

俺なんてどの教科も平均点くらいしか取れないし、もっと頭のいいヤツに教えて貰った方がいいと思ったから。



「えーっ、だってぇ、頭いい人ってなんか話しかけにくいじゃん!」



そう言って、彼女は笑ってた。


俺としては・・・まあ、二人きりになるのは嬉しかったけど、スカートから伸びる足とか、胸の膨らみとか、いらぬ所ばっかり見てしまって、あまり集中出来なかった。

悲しいかな、思春期真っ盛りの男子にそういう欲望に逆らえというのは限りなく難しいのとだったが、俺は頑張って耐えていた。我ながら、偉いと思う。




「翔太、あたしね、サッカー部の馬場先輩に告ろうかと思うんだ。」




中1の冬、俺は初めて彼女から恋愛相談を受けた。


それまで俺は少し勘違いしていた。

だって、テストが近づく度に彼女はいつも俺の元へと来ていたし、俺は彼女にとって「トクベツ」な存在なんだ、と勝手に思ってたんだ。



でも、違った。彼女は俺を選ばなかった。



「へぇ、そうなんだ・・・いいじゃん、馬場先輩・・・カッコイイし・・・」



俺はへらへら笑いながらそう返していたと思う。

だって、馬場先輩って言えばサッカー上手くて、地区の代表とかに選ばれちゃうようなすごい人で、顔だって、めちゃくちゃカッコイイし・・・


よーするに、俺のスペックじゃ絶対勝てないような雲の上の存在だから。



だから、俺は、そう言った。


自分の気持ちなんて言えやしなかった。



「友達」という関係が心地よくて、手放したくなくて、嫌われたくなくて



だから、へらへら笑って彼女に嘘を吐いたのだ。



自分の気持ちを決して悟られないように。



ーーーー彼女は、中2の夏に馬場先輩と付き合った。



付き合っている間、彼女は俺の元に来なかった。



当たり前の事だけど、見ていることしか出来ないことにもどかしさを感じていた。

他の男の隣で幸せそうに笑っている彼女を見て、「これでいいんだ」と精一杯自分に言い聞かせた。




そう、これでいいんだ。





これで良かったんだ。


俺なんて普通だし、彼女に釣り合わないし


彼女だって、好きな奴と付き合えて幸せそうだし


これでいいんだ。




ーーーこれで・・・・良かったのか?






中2の冬、彼女は馬場先輩と別れた。


彼女が先輩に振られた日、彼女は久しぶりに俺の元に来た。



「翔太。」



彼女の顔は涙でぐしゃぐしゃだった。



「あたし、先輩と別れちゃった。」



そう言って、彼女はわんわん泣き出した。


馬場先輩は、部活が忙しくて、なかなか千奈美との時間が取れなかった。

千奈美は会えなくても頑張って我慢していた。

だけど、ついに寂しさに耐えきれずに別れてしまったのだ。


今年最初の初雪が、空に舞う中、彼女は泣きながらそう言った。


俺は、泣いている彼女を抱きしめる勇気なんてなくて、ただ隣に座って話を聞くことしか出来なかった。



何も出来ない、何も言えない自分がすごく情けなかったし、カッコ悪かった。



これが、彼女の初恋だった。


----------



時は移り変わり、俺と彼女は同じ高校に進学した頃、彼女は二回目の恋をした。


二回目の恋の相手は数学の柳瀬先生。


メガネをかけていて、少しクールでインテリ的な感じだけど、若くてカッコよかったから女子には人気があった。

そんな彼女も、柳瀬先生にすぐに夢中にらなった。



「ねえねえ、柳瀬先生、カッコ良くない!?」



彼女が友達に興奮気味に話しているのを、俺はただ眺めているだけだった。

中学とは違って、通っている学科が違っていて、一緒にいる時間が少なくなっていたからだ。


彼女は今度は俺に恋愛相談を持ち掛けて来なかった。


千奈美が先生と付き合っていたということは、彼女が先生と別れてから知った。



高校2年生の春、俺がクラスメイトと遊んでいて遅くなった時、家の近所の公園に千奈美がいたのだ。

彼女は虚ろな表情で、ブランコに座っていた。

ブランコを漕ぐわけでもなく、ただ彼女は座っているだけだった。


不審に思った俺は、彼女に話しかけた。



「おい、千奈美。そんな所で何やってんだよ、もう夜も遅いぞ。」



彼女はゆっくり俺の顔を見上げた。

その目には、何故か涙が浮かんでいた。



「・・・翔太、あたし、もう、男の人なんて絶対に信じない」



そう言って、彼女は泣きはじめた。



「どうしたんだよ、お前。何か・・・あったのか?」



「翔太・・・誰にも言わないでね、あたし、柳瀬先生と付き合っていたいたの。」



千奈美は高校一年生の秋に先生に告白して、皆に内緒で先生と逢瀬を重ねていたらしい。


先生は彼女に愛している、と言っていた。

ずっとずっと一緒にいようと、誓いの言葉を言っていた。



ーーーだけど



「柳瀬先生ね、来年の春に結婚するんだって。あたしじゃなくてね、他の女の人と。」



許せない。



身体中に怒りがマグマのように燃えていた。



許せない。



何で愛していると言いながらも裏切ったんだ?



お前の愛は、そんな薄っぺらい言葉だけのものなのか?



先生が本気でこいつを好きだったら良かった。

俺は「普通」だから、彼女にはつり合わない人間だから。



だから、千奈美が幸せなら、隣にいるのが俺じゃなくても良かったんだ。



中2の夏の俺が、じっと俺の顔を見る。



「何も言わなくていいのか?」



中2の時の俺が、俺に語りかけてくる。



「あの時と同じ事をまた繰り返すのか?」



その言葉の一つ一つが、胸の奥に突き刺さる。



「本当に見ているだけで、いいのか?これで、いいのかよ?」



良くない。良くねえよ。

あの時のような情けない思いはもうしたくない。



「俺が一発、ぶん殴ってくる。」



気がついたら、俺はこんな事を言っていた。

中2の夏の俺が、俺の背中を全力で押してくれている。


カッコよくなんてないし、俺は彼女に相応しくもねえ。



だけど、だけどな、俺は男なんだ。

好きな女の為に何も出来ないなんて、それは男じゃないじゃねーか!



千奈美がゆっくりと顔をあげた。


俺のいつもとは違う雰囲気に不思議に思ったのか、千奈美が俺の顔をまじまじと見た。



「そんなこと、しなくていいよ・・・」



消え入りそうな声でそう呟いた。



「だって、翔太には関係ないじゃん・・・」



ああ、そうさ。関係ない。


だって、俺達はただの「幼馴染」であり、「友達」だ。

そんなことをする義理なんてない。



「でも、お前が傷付いて、泣いてるのに、俺は我慢出来ない。

俺はずっと、お前の事が好きだったんだ!

他の男と付き合うのだって、お前が幸せなら、それでいいって思っていたんだ!だけど、あの男はお前を裏切って、お前の事をこんなに傷つけた!俺は、あの男を許せねーよ!」



今度は嘘は吐かなかった。

中学の時のように、へらへら笑って自分の気持ちに嘘を吐くことなんて出来なかった。


俺のありのままの気持ちを、感情を、その言葉に込めた。



「いいの、翔太。」



彼女はそう言って、何故か花のように笑った。



「あたしは、大丈夫だから。ありがとう。」



嘘だ、と思った。


だけど、俺は彼女を問い詰めることが出来なかった。


彼女の花のような笑顔を見て、分かってしまったのだ。



ーーー彼女は嘘を吐かれて、裏切られて・・・ボロボロになっても、まだ・・・彼の事が好きなんだと。



それを悟ってしまった瞬間、不思議と怒りがすっと収まった。



ああ、俺の気持ちは、届かないんだ・・・。



あれだけ熱くなっていた気持ちが、急速に冷めて行く。


もう、何も言葉は言えなかった。



どんなに俺が言葉を尽くしたとしても、この思いは届かない。



彼女は俺の言葉を待ってない。受け付けていない。



最初から、分かっていた事だ。



なのに、どうして・・・・



やり場のない虚しさと、夜の闇だけが、俺達を包んで行く。



ひんやりとした空気の昏い闇の中、俺達はどんどん堕ちて行く。



心の中には、憎しみも悲しみも何もなかった。


何か大事なものを失ったような、大きな虚無感。




その後の事は、よく覚えてない。



いつの間にか、家に戻っていて、いつの間にかいつも通りの日常がはじまっていた。



-----------



それから、俺達はなんとなく距離が出来た。


何があったというわけじゃないけど、なんとなくお互いがお互いを避けるようになった。


月日は流れ、俺は大学に進学した。

学部は違えども、彼女も同じ大学に進学していたことは母親から聞いて知っていた。


だけど、特に何の接点もなかった。

会うことも、喋ることも、メールをすることすらなかった。



そんな俺にも、彼女が出来た。


相手は同じバイト先の後輩の㮈村みずき。

長い髪のあいつとは違って、短めのショートカットが特徴の、男らしい一つ年下の女の子だ。


俺達は俺が大学1年から3年の時まで付き合っていた。


交際そのものは順調だった。

喧嘩したり、ラブラブだったり、すれ違ったり・・・恋人がやるようなありきたりのイベント一通り経験した。


このまま、社会に出てこいつと結婚するのかな。と俺はぼんやりそう思っていた。


ーーーだけど、そんなある日、俺はみずきとのデート中に千奈美が男に絡まれている所を見てしまったんだ。


それは、夜の繁華街、俺達は飲みに行って駅まで向かう途中のこと。


男はすげえ気持ち悪いオタクみたいな奴で、千奈美の腕を掴んで、いやらしい目でじろじろ彼女を見ていて。



「いや、やめて」



と千奈美が涙目になりながらもそう言っていて。


彼女を目にした瞬間、自然と足が千奈美の方に向かっていた。



どうしてこの時、彼女を助けようとしたのか、今でも分からない。

もう、彼女に対する恋心は無くなったはずなのに、ほとんど衝動的に身体が動いていたんだ。



不思議がるみずきの声は、俺には届いてなかった。


男に声を掛けたら、男はすぐに逃げてしまって。



「おい、千奈美。大丈夫か?」



そう言って、彼女の顔を見ると、俺の心臓が高鳴る音がした。


久しぶりに見た彼女は、化粧も覚えてますます美人になっていた。



「えっ?翔太?・・・ありがとう」



彼女の顔を見た瞬間、俺の中で忘れかけていた彼女への気持ちが、蘇っていく感覚がした。



ああ、これはまずい。



「ねえ、翔太。どうしたの?」



みずきの声がする。


そうだ、俺は今、みずきと付き合っているんだ。



「あれ?翔太・・・・彼女が出来たの?

ごめん、わざわざありがとう・・・。

翔太の幼馴染の千奈美です。宜しく。」



申し訳なさそうな顔で彼女がみずきに頭を下げる。



「ああ、幼馴染だったんだ。あたしは翔太の彼女のみずきです。大丈夫でした?」



「はい。しつこくされていたので、翔太が助けてくれてホント助かりました。」



みずきと千奈美は特に修羅場になるようなこともなく、普通に話している。


何か話さねば、と思ったけど、何も言葉に出てこない。



「翔太・・・・?どうしたの?」



みずきが不思議そうな顔で俺を見ている。



「・・・・何でもない。少し、ぼおっとしていただけだ。」



とっさに俺はへらへら笑いながら嘘を吐く。



「変なの。さっ、行こう。翔太。

あ、千奈美さんも良かったら一緒に行きましょう。あんな事あった後だと怖いですよね?」



みずきは本当にいい奴だ。とこの時心の底からそう思った。


普通だったら修羅場になったっておかしくないのに、俺の事を信じてくれる。千奈美の事も気遣ってくれている。



「ありがとう。みずきさん。お言葉に甘えさせてもらいます。

・・・・翔太、いい彼女、貰ったね。」



「ああ・・・そうだな。」



そうだ、俺の事を好きって言ってくれるし、性格だっていい。まさに文句の付け所がない。



だけど、俺は気付いてしまったのだ。



俺は、やっぱり、千奈美が好きだということにーーーー



本当なら、こんなの許されないし、っていうか、俺昔千奈美に振られているし。


まだ千奈美への想いを引きずっているなんて、我ながら本当に馬鹿で愚かで笑える。


5歳の頃からずっと片思いしていて、告白して振られても、別の女と付き合っていても、俺は彼女が好きなんだ。


彼女が他の男と一緒になったって、俺を選ばないとわかっていたって、ずっとずっと好きなんだ。


叶わない恋だと分かっていても、まだ彼女が好きなんだ。


彼女は俺を見ていない、というのに。



もう、不憫すぎて笑える。



今、この気持ちに気付いて、俺はどうしたいんだ?


みずきと別れて彼女を選ぶのか?みずきは俺の事を思っているというのに?



・・・・出来るわけねーよ、そんなの。



千奈美の事が好きだけど、でも、みずきへの気持ちが無くなったわけじゃないんだ。

今まで積み重ねてきた、みずきへの愛だって俺の中にはあるんだ。

それを全部否定してしまう程、俺は薄情ではない。



だから、そう・・・・この気持ちに、俺は蓋をすることにしたんだ。



今まで通り。何の変わりもなく、みずきと付き合い続けることを俺は選んだ。



千奈美と会ってから、三ヶ月たったある日。



「大事な話がある」



と、みずきにメールで呼び出された。



「ねえ、翔太。あたしに嘘吐いてない?」



彼女は、責めるわけでもなく、俺に優しく問いかけてきた。



「最近、なんか翔太ぼんやりしているよね。・・・千奈美さんに会った時からずっと。

ねえ、翔太・・・・本当の事を言って欲しいの。本当は・・・・誰が好きなの?」



彼女の言葉は俺の心にグサリと突き刺さった。



彼女は気付いていたのだ、俺の気持ちに。



彼女は俺を責めたてようとする様子はなかった。

ただ、泣きそうな顔をしながら、俺を見つめていた。


まだ、怒ってくれた方が楽だった。最低な奴だ、と罵られたって良かったんだ。


だけど、みずきは泣きそうな顔をしながらも、じっと俺を見据えている。


こんな状態の彼女に、本当の事を言うのは辛い。



・・・だけど、嘘も吐けそうにもなかった。



ここで俺が嘘を吐いてしまったら、余計にみずきを傷付けてしまう。


確かに千奈美への想いには勝てないけど、俺の中のみずきへの想いは無くなったわけじゃない。



「ごめん」



俺は一言だけそう言った。余計な言い訳をしても、彼女を傷付けるだけだと思ったから。



「・・・そっか。」



彼女は納得がいったようにうなづいて、涙をボロボロと流していく。


本当なら、今すぐみずきを抱きしめて慰めてやりたい。

だけど、俺にはその権利がないから、俺は黙って俯くことしかできなかった。



「・・・ね、翔太。別れよう。このままじゃ、翔太のためにもあたしのためにもよくないから・・・・」



「・・・・そうだな。」



ああ、俺は本当に最低な奴だ。



まるで、高校時代、千奈美を振ったあの男と変わらないじゃないか。


心の中がどす黒く染まって行く。



ーーー違う、俺はあんな最低の奴とは違う。



千奈美を捨てて、自分だけ幸せになった最低な奴とは違うんだ!!



俺は、みずきと別れた後も、しばらく千奈美と連絡を取ろうとはしなかった。


自分でも狡いと思うし、最低な事をしたと思っている。言い訳もしない。どんな罰でも受けるさ。

まあ、みずきは俺を責めたてなかったし、罰を科すこともしなかった。


だから、俺は自分なりに禊の時間を設けることにした。


みずきが俺のことをちゃんと忘れて他の男を作るまで、一切千奈美には会わない。連絡もいれない。


この期間が短いかどうかなんて俺には分からねーさ。

だけど、やっぱ、なんかケジメって奴をちゃんとつけねーといけねーなって思って。


みずきとも連絡は取らなかった。


ただ、彼女の友達を通じて、みずきに彼が出来たら教えてくれって言って。



ようやく連絡が来たのが、先月だったんだ。



俺はみずきと別れてから一切千奈美に関する情報を仕入れないように、仕事に集中していた。

だから、今彼女に男がいるかどうかなんて分からない。



だけど、今日。



夜景のいい高級レストランに予約入れて、鞄の中にはブランド製の指輪まで入れて、とりあえず、プロポーズの準備だけは万全だ。


どうせ振られるんだったら、とことんダメージが大きい方がいい。

そして、今度こそ、俺は、この不憫な片思いに終止符を打つんだ。



「お待たせー。」



約束の時間より、少しだけ早めに千奈美がやってきた。

久しぶりに見た彼女はやっぱり綺麗だ。


ピンクのワンピースがよく似合っている。

俺とのデートを承諾してくれたってことは、少しは期待していいのかな、って邪な考えが膨らむ。


・・・まあ、向こうはデートと思っているかは知らないけどさ。



「なんか久しぶりー!元気だった?」



「まあな。」



俺は精一杯カッコつけてそう言う。

今日のためにスーツだって高級ブランドのものを仕立ててきたんだ。


カッコつけないと勿体無いだろ?



「さあ、行こうか。」



さあ、これから、俺の一世一代の大告白がはじまる。



俺が晴れてこの不憫な片思いを成熟出来るのか、それとも木っ端微塵に玉砕するのか。



どちらにしても、今日こそ決着をつけるんだ。



夜景の綺麗なレストラン。最高級の食事と酒。


舞台としては、これ以上のものなんて用意出来ないだろ?


まさにプロポーズにぴったりだ。これで断られたら、俺は道化師なんだと思うことにしよう。



さて、肝心の俺のプロポーズの結末はどうだったかって?



それはな・・・・




END

次の長編の構成煮詰まって気分転換に書いた話。


ただ不憫な片思いが書きたかっただけです。


結末は読者の皆様にお任せします(笑)

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[良い点] ゴミ屑同士お似合いだなww [気になる点] キャラに魅力が皆無、話も詰まらない。
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