大雨の日。
三題噺もどき―はっぴゃくきゅうじゅうはち。
ザーザーと雨が降っている。
外の景色は雨の白でかき消されている。
降り続ける雨は止むことがないように思われる。
「……」
ズキズキと頭が痛む。
頭と腰と、頭が痛む。
最悪な時に頭が痛む。
「……」
よりによって、このタイミングで月の物が来て。
よりによって、このタイミングで頭痛に襲われて。
よりによって、このタイミングで体育の授業がある。
「……」
「……」
「……、」
体調不調と言う程でもなかったから、大丈夫だろうと踏んでいたのだけど。
さすがに体の限界をまだ知らなかったみたいだ。
時間が経つにつれて悪化していくような感覚がある。
「……」
薬を飲んできたのだけれど、あまり効き目が感じられない。
何をしても手に負えない……のれんに腕押し?糠に釘?馬の耳に念仏?
どれも違うような気がするが、まともに思考が回っていないのだから、どうでもいいな。
薬の効き目がないのは、私が飲みすぎているせいだし。
「……」
去年まではそんなに酷いこともなかったんだけど。
気付けば薬を飲まないとやっていけない日が多くなってきて。
頭痛なんて毎日のようにいるから、慣れてしまってある程度なら耐えてしまうのだけど。
「……」
さすがに今日のこの痛みは、薬なしでは無理だったんだけど。
その薬もあまり効果がないこの状況では、どうにもなりそうにない。
そろそろ吐き気まで催しそうで、限界を迎えようとしている。
授業時間は残り半分ほどだが……動くのも精一杯である。
「……」
今は別のグループがしているので、休んでいるのだけど。
これが終わればまた動かなければならない……さすがにもう動くのは難しい。
回りを見てみれば、それぞれ水分補給をしたり、他の見学という名の応援をしたりしている。「……」
こういう時に、あの子が居れば。
私ももう少し頑張ろうと思えるのに。
いないんだもの、肝心な時に。
「……」
いいよなぁ、あの子と一緒に授業を受けられて、あの子と一緒に教室に居られて、あの子と一緒に移動もできて、あの子と一緒に苦手なこともできて、あの子と一緒に得意なこともできて、あの子と一緒に、ずっと、いられるなんて。
私は、休み時間と昼休みと放課後にしか会えないのに。一緒に居られないのに。嫉妬なんてものではない。ただ、良いなぁと思うだけ。
「……」
「……」
「……。」
さすがに限界だ。
幸い教師は近くにいるし、今日は休ませてもらおう。
近くに居た生徒は他の応援に夢中なので、のそりと立ち上がり、何か声をあげている教師の下へと向かう。
「……先生」
「――!……どうした」
「体調悪いので保健室に行ってきていいですか」
「保健室って……もうすぐで授業終わるぞ?」
「動くのもしんどいんで……」
「……まぁ、いいが。1人で行けるか?」
「はい」
むしろ1人の方がありがたい。
他の人と一緒に行って、下手に気をつかわれるのも嫌だ。
それに私ごときに巻き込まれて授業が受けられなくなるのも申し訳ない。
「……」
教師にだけそう告げ、誰にも気づかれないように体育館を出て行く。
外は未だに雨が降っている。世界が白くてよく見えない。
ズキズキと頭が痛む。殴られたように腹の奥が痛む。
「……」
保健室……あの先生は今日居るだろうか。
お題:嫉妬・のれん・雨




