第九十六話:ゴミ捨て場から“赤灯区”へ?――深淵リラクゼーション店、開業
(場所:第13区・旧ギャング拠点)
一週間後。廃墟の上に、ピンクのネオンが妖しく輝く巨大施設がそびえ立った。病院でも教会でもない。
看板:【深淵・機械メンテ&メンタルSPA会所】
この店のサービスは、半機械人のために作られたと言っていい。
* ショゴス按摩バス(修格斯マッサージ浴槽):ショゴス(古神ゼリー)の不定形特性で、改造人の硬い身体を完全に包み込み、あらゆる機械の隙間へ入り込んで洗浄・潤滑を行う。「お……天国……ショゴスが俺の排熱口に……やばい……」
* 暴食魔王リサイクル・ステーション:ベルゼブブが、産業廃棄物と廃パーツをすべて処理する。「ゴミ食う?余裕!」
* サキュバス微笑み接客:リリスが、殺すことしか知らない女改造人たちを教育し、受付に立たせる。「笑って!歯を見せない!優しく!」
かつて暴力と混乱しかなかった惑星に、奇跡のような平和が訪れた。なぜなら――ギャングも殺し屋も暴徒も、今は行列に並んでいるからだ。“SPA会員カード”を手に入れるため、彼らは自らゴミを拾って金に換え、治安は信じられないほど改善した。
リンは最上階の窓辺で、赤ワインを揺らしながら下の長蛇の列を眺め、肩をすくめる。「ほらな. 治らない患者なんていない。――サービスが合ってないだけだ。」
その時、扉が乱暴に開け放たれた。高級スーツを着た太った男が入ってくる。背後には重装甲メカの護衛隊。この星の“元・地下覇者”、【廃土財閥】の代理人だ。
「新参者。」
男は繁盛する店を見て、貪欲と殺意を瞳に走らせた。
「誰の許可で商売してんだ?みかじめは払ったか? “屠夫”軍団に通達しろ。今夜、この店を叩き潰す。技術者は全部奪え。」
リンは振り向き、命知らずの土着財閥を見据えた。
「店を潰す?」
「ちょうどいい。俺の警備隊長(鉄頭兄貴)は装備を更新したばかりでな――手が痒い。」
「商戦なら…… “物理商戦”でいこう。」




