第九十三話:陪審団も陥落?――「地球がなきゃ、誰が“更新”する?」
(場所:法廷)
証人は落とした。だが陪審団――各星系の大物たちはまだ渋い顔だった。
「創世者が不問でも、この星は混沌だ. 古神汚染もあるし、詐欺リンクもばら撒く。残せば危険だ。」
リンは、暖簾に腕押しの連中を見て、ため息をつく。
「……仕方ない。最終兵器を使うか。」
指を鳴らす。アリスが巨大スクリーンにデータを映す。
「陪審諸君。『幻鏡』が銀河網へ接続されて以降、全宇宙の娯楽時間比率は500%上昇した。」
リンは植物族の陪審員へ歩み寄る。
「もしあなたが『有罪』に票を投じ、地球が消えるなら――あなたが追っている『俺様魔王が私に惚れた件』は、クライマックスで……永遠に断更新だ。」
植物族の頭の葉が一瞬で萎れた。「だめだ!そこで止まったら私は枯れる!」
リンは虫族女王へ向き直る。
「女王陛下。あなたは深淵名物の『炭火焼きショゴス』が大好物だとか。地球が消えたら、あなたが食べるのは……この乾いた栄養ペーストだけだ。」
虫族女王が鋭い叫びを上げる。「ダメ!もう舌が戻れない!」
リンは陪審席全体へ向き直り、両腕を広げた。
「地球の破壊は簡単だ。だが――短動画も、配信も、美食もなく、ただ無限の退屈な労働だけが続く“つまらない地獄”へ戻る覚悟はあるのか?」
これは露骨な【文化的人質】だった。贅沢は慣れたら戻れない。地球の“低級な快楽”を知った高等文明は、もう手放せないのだ。
「反対票だ!」植物族が悲鳴を上げる。
「無罪だ!無罪にしろ!」虫族女王が机を叩く。
「地球に手を出す奴は俺が許さん!」
機械族代表(いつの間にかゼロちゃんのガチ恋勢)がレーザー砲を掲げた。
最終判決――大法官が木槌を打つ。
「本廷は判決する。被告リン・アドラー――無罪。」
「加えて第404号惑星は、本日より『銀河系一級文化遺産保護区』に指定。これに手を出す者あらば、全銀河を挙げて撃滅する。」




