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第九十話:最終オークション!――“転生体験”を銀河一の富豪に売れ

リンが金を数えすぎて指が攣りそうになった頃、この騒動に“本物”が反応した。銀河一の富豪――宇宙の希少鉱物80%を握る“ダイヤモンド星人”。全身が生体ダイヤで、歩くたびに粉(ダイヤの欠片)が零れ落ちる。


全宇宙が地球のゴミ盲盒と値引きリンクに群がる様子を見て、侮辱と……好奇心を抱いた。


「そんなに買いたいなら、この星ごと――買い切ってやる。」


無限の資金を携え、彼はリンの配信を乗っ取った。


(場所:深淵配信・最上級オークション)


「1000億スターコインだ。」


傲慢な声がネットワーク全域に轟く。「在庫を全部買う。――そして消えろ。お前たちは宇宙の静寂を乱した。」


「1000億?」


リンは画面の、眩しく光る成金を見て笑った。


「富豪さん。あなたは物質をすべて持っている。――だが、あなたは“楽しい”のか?」


「楽しい?低級生物のホルモン反応だ。」ダイヤモンド星人は鼻で笑う。「私は永遠の生命と無尽蔵の富を持つ。そんな安物は不要だ。」


「違う。あなたが“退屈”なんだ。強すぎて、孤独で、宇宙があなたにとって“澱んだ水たまり”になっている。」


リンは壇上に上がり、アリスに合図して照明を落とさせた。一本のスポットライトだけが、リンの手にある黒いカードを照らす。


「本日の唯一にして、最後の目玉商品。これは“物”じゃない。――“機会”だ。」


【商品名:異世界・転生体験券(没入型・セーブデータ削除リトライ版)】


リンの声は、人の理性に寄生する甘い毒だった。


「あなたの記憶を一時封印し、意識だけを保ったまま、“地球”という剣と魔法の世界へ投下する。そこではあなたは富豪ではない。ゼロから始める勇者かもしれない。婚約破棄された落ちこぼれかもしれない。スライムに転生する可能性だってある。あなたは全財産を失い、自分の手で狩り、育て、拾い、這い上がる。裏切りの怒り、信頼の温度、逆転の快感――金では決して買えない“第二の人生”を、あなたに与える。」


会場が凍り付いた。寿命が無限で生活が退屈な高等文明にとって、“ゼロから”“二度目の人生”は核爆弾級の誘惑だった。彼らに足りないのは金ではない。刺激だ。ダイヤモンド星人の輝きが大きく揺れた。


「……私が、落ちこぼれになれるのか?」


声に、あり得ないほどの渇望が混じる。


「なれる。――ハーレムも可能だ。」リンが追い打ちをかけた。


「開始価格:1兆スターコイン。」


「出す!!!」


一切の躊躇もなく。富豪は全財産を即ブッ込んだ。


「早く!カードを渡せ!転生したい!落ちこぼれになりたい!“莫欺少年穷”をやりたい!ゴミ拾いしたい!!」


落札。ハンマーが落ちた瞬間、地球を押し潰していた天文学的負債はゼロになった。リンは一兆スターコインが入った黒いカードを手に取り、幸福そうな顔で“地球で苦労しに行く”富豪がカプセルに送られるのを見て、肩をすくめた。


「結局、金持ちの究極の夢は――貧乏人の人生を体験すること、か。……これが“囲城(城の中と外)”ってやつだな。」


だがリンが巨額の金を抱えて立ち去ろうとした、その時――ステーションの警報が轟音のように鳴り響いた。


“銀河連邦・執行隊”のマーキングを塗った黒い戦艦が、数十隻。ステーションを包囲する。


「リン・アドラー。」


威厳ある全域放送が響く。「お前は大規模星間詐欺、ウイルス的リンク拡散、そして市場秩序の攪乱の容疑者だ。こちらへ来い。――【宇宙法廷】で事情を聞く。」


リンは窓外の艦隊を見て、ネクタイを直した。焦りはない。むしろ薄く興奮が浮かぶ。


「法廷?いいね。心理医も飽きた。配信者も飽きた。アリス。全宇宙の法令をダウンロードして。次は――銀河系の大弁護士になる。」

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