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第八十六話:分解させない?――なら“借殻上場”だ!

「救う?」評価員は身体を揺らした。「NカードはNカード。変えられない。」


「いいえ。あなたは間違っている。」


リンは、アリスに生成させた分厚い《深淵企画書》を取り出した。


「あなたはこの星の“資源属性”しか見ていない。だが“文化属性”を見落としている。」

「Nカードは数値が低い。――だが、もしそれが“絶版限定SP(Special)カード”なら?」


「SP?」評価員が固まる。


「そう。」


リンは背後を指す。バーチャルアイドルのゼロ。生体ロケットになった龍王。《幻鏡》に溢れる、バカで面白い動画の数々。


「見ろ。全宇宙唯一の“古神BBQ文化”がある(古神すら焼いて食える。希少だ)。」

「魔王をペットにして観光資源にできる“深淵ツーリズム”がある。」

「そして今、銀河の歌姫――“ゼロちゃん”が誕生した。」


「これがゴミカード? 違う。――【銀河初のオープン型テーマパーク】だ。」


リンは指を三本立て、図々しいほど自信満々に言い切った。


「三か月ください。」

「このカードが分解されるべきじゃないことを証明するだけじゃない。」

「この星を“借殻上場”させ、銀河中の観光客を並ばせて金を落とさせる。」

「その時、あなたは発掘者だ。成果報酬で“十連ガチャ×十回”分は引ける。どうです?」


評価員は黙った。体内の玉がカラカラと狂ったように回り、損得を計算する音がした。やがて――欲がプログラムに勝った。


評価員は機械の手を差し出す。「契約成立. 三か月。」

「この星の収益が一兆スターコインに達したら、君たちをSRカードへ昇格。」

「達しなければ――分解。」


リンは口角を上げ、その手を握り返す。


「一兆? スケールが小さい。」

「見ていろ。銀河の資本家どもが、泣いて“金を受け取ってくれ”と頼んでくる世界を作る。」


地球はひとまず救われた。しかし“一兆スターコイン”(太陽系を百個買えるレベル)のノルマが、リンの肩にのしかかる。リンは宇宙を見上げ、眼に野心を燃やした。


「アリス、準備だ。銀河の貿易ハブへ行く。稼ぐなら、いちばん金持ちの金を抜く。第一弾――異星人に“ブラインドボックス(中身は龍王の入浴水)”を売りつける。」

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