第八十二話:ショゴスを盾に? 古神でも“熱い”のは嫌だ
(場所:地月軌道)
ジジジジ――!
レーザーが龍王の背を叩いても、鱗は貫かれない。なぜなら――龍王の全身が、黒く蠢く“何か”で塗り固められていたからだ。古神眷属・ショゴス。
「ぐにゃ?! (あっつ! あっつい!!)」
ショゴスは悲鳴を上げて逃げようとするが、強力接着剤で貼り付けられている。レーザーは瞬時にその肉体を気化させる。だが次の瞬間、古神級の“無限再生”で、また生えてくる。
「“無限再生”で“高エネルギー打撃”を受け止める。」
リンはカプセルの中で平然とお茶をすすった。「これが深淵バイオテックの含金量(ガチ性能)だ。」
ショゴスの悲鳴が宇宙に散る中、龍王は密集砲火を正面突破し、月の防衛網を力ずくで貫通した。
「月面まで残り3000メートル!」
「減速? ――そんな機能はない。」
「硬着陸準備! 全員、耐衝撃姿勢!!」
ドゴォォォ――ッ!!!
これは着陸じゃない。小型隕石の衝突だ。龍王は月の裏側にある鋼鉄基地へ頭から突っ込み、“絶対防御”を誇った合金ゲートを鉄屑に変えた。
【配信コメント】
【 ショゴス「血も流した!盾にもなった!」 】
【 これ登月じゃなくて破城槌だろ 】
【 満点着地!姿勢が犬のすっ転び方だけど! 】
砂煙が晴れる。残骸から降り立った一行は、抵抗がないことに気づいた。そこにあるのは、無数の赤いホログラム警告ウィンドウ。そして、今にも息絶えそうな、途切れ途切れの声――
「侵入者……抹殺……めんどい……でも抹殺……する……」
冷酷無情のはずの月の看守者――どうも様子が変だ。




