第八十一話:月面計画?――違う、“憤怒エンジン”と龍族シャトルだ
(場所:世界最高峰・巨竜の頂)
「月のレーザーが、もう“洗い流し(スイープ)”に来るぞ!」
元勇者アーサーは空の赤い光を見上げ、焦りで髪を一束むしり取った。
「慌てるな。燃料は今、“予熱”中だ。」
リンは雪山の頂で、ゴブリン技師たちに指示を飛ばしながら、龍王バハムートの背に巨大な金属円筒を溶接させていた。
「リン! 本当に安全なのか!? これ!」
特注の超大型宇宙服を着た龍王の声が震える。「尻の後ろに核爆弾が付いてる気分なんだが!」
「核よりエコだ。」
リンは円筒をぽん、と叩いた。その中に閉じ込められているのは――憤怒魔王サマエル。そしてサマエルの正面には、視聴覚効果抜群の巨大スクリーンが吊られ、リン特製のループ動画が再生されていた。
『サマエルの百通りの死に方(鬼畜MAD)』
『嫉妬魔王が中指立ててるドアップ集』
「点火。」リンが命じる。
動画が流れた瞬間。円筒の中から、魂を砕くほどの絶叫が炸裂した。
「アアアアア!! 消せ!! 消せええ!! 殺してやるうう!!!」
――轟ッ!!!!
サマエルが背後へ狂ったように“憤怒の拳”を叩き込む。一撃ごとに核爆発級の衝撃波。だが指向性フィールドがそれを縛り、破滅の力は純粋な“青い噴射炎”へ変換された。
「ギャオオオ!!!」
龍王は悲壮な悲鳴を上げる(あっつ!あっつ!)そして凄まじい推力で、緑の流星と化して大気を逆流し、天を突き抜けた!
【配信コメント】
【 うわ、生体ロケット!? 】
【 サマエル「怒ってるだけなのに推進器にされた」 】
【 これが本当の“怒気ゲージMAX”──物理的に! 】
【 龍王いってら!村の希望だ! 】
だが大気圏を抜けても、月の防衛システムは伊達じゃない。数千万条の高エネルギーレーザーが、豪雨のように降り注いだ。龍王の魔法シールドは一瞬で粉砕。
「終わった!」ジャンヌが叫ぶ。
「いや、“二踢脚”……じゃない、“ショゴス”だ。」
リンはボタンを押した。




