第六十三話:衝撃!氷のエルフ女王が“ネギ振りダンス”!?
アプリ名:【幻鏡(Phantasm)】
基本機能:15秒だけ。指を上へ――次へ。
中核アルゴリズム:アリス謹製「ドーパミン無限ループ」(瞳孔の拡大と心拍数で“今いちばん見たいもの”を正確に撃ち抜く)
問題:初期はUGCがない。
解決:リンは“自軍のS級連中”を直接投入し、第一弾のコンテンツを“充填”した。
バズ動画①
画面の中には――伝説級に高潔で、人間界の俗事など鼻で笑うはずのエルフ女王タイランデ。リンが設計した“可愛いJK制服”(世界樹復活費の一部相殺のため)を着せられ、両手にネギを二本。中毒性のある音楽が鳴った瞬間、女王は顔を真っ赤にして、ひたすら洗脳力の高い「ネギ振りダンス」を踊り始める。ぎこちない動き。恥ずかしいのに、逃げられない表情。揺れるツインテール。――大陸中の男心が、瞬時に撃ち抜かれた。
データ:いいね 1.2億/シェア 5000万。
バズ動画②
ID:退職した老幹部
元魔王バルが、トゲだらけの魔界ドリアンの山の前に鎮座。「リンってクソガキが“食える”とか言いやがったな?今日はワシが“素手でドリアン割り”を見せてやる!」「ぬおおおっ!」バキッ!と割れる。同時にバルは臭気で白目。えづきながら叫ぶ。「な、なんだこの臭さ!アスモデウスのカスが魔王城でウンコでもしたのか!?」最強存在の“ギャップ萌え”と“地に足の着いた汚さ”が、ストレス社会に刺さりまくる。
バズ動画③
ID:機械姫アリス
超高難度のメカダンス変装チャレンジ。メイド服から一瞬で戦闘機甲へ。若者が絶叫するほどの“カッコよさの暴力”。
……狂った。世界が、狂った。王都の貴族も、田舎の農夫も。全員が同じ不気味な姿勢になった。うつむき、指を狂ったように上へ滑らせ、間抜けな幸福の笑みを浮かべている。
「もう一つだけ……一つだけ見たら寝る……」
それが寝る前の合言葉。そして気づけば、朝。鶏。クマ。黒い隈。
――『勇者日報』? 何それ。女王のダンス見れる?魔王のドリアン割り見れる?見れない? なら油条包みにでもしてろ。
全人類の中毒状態を見て、勇者協会はついに焦った。総会長が机を叩く。
「精神毒だ!深淵の陰謀だ!封禁しろ!!」
だがリンは、当然そこまで読んでいた。診療所の制御室で、彼は微笑み、管理画面の赤いボタンを押す。
【全員投稿権限を解放(UGCモード)】
「封殺したい? なら、今度は――全員を“記者”にしてやる。」




