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第六十一話:竜騎士学院? いいや――“配龍(はいりゅう)”シェア便プラットフォーム

一か月後。子竜たちは飛べるようになり、狩れるようになり、身体も締まった。しかし新たな問題が出る。竜の島の資源は有限。これだけの竜が食う。金はどこから?


「リン先生……金貨を稼ぎたい……手办フィギュアを買い戻したい……」


腹筋がついたレッドドラゴンが、しょんぼりとリンを見る。


「よろしい。稼ぐ欲が出た。成熟の第一歩だ。」


リンは待っていましたと言わんばかりに、ビジネスプランを取り出した。


【グローバル・ドラゴンライダー・シェア移動計画】


「お前たちは世界最速で、見た目が一番“映える”。」


「それが最大の商業価値だ。」


……


三日後。人間世界。各王国の新聞一面が、ある広告で埋まった。


【伝説の“竜騎士”になりませんか?】

【深淵モビリティ・竜騎士体験サービス開始!】

【998ゴールドで、ドラゴンがあなたを自宅まで空輸!】

【尊貴・豪奢・速度の象徴!】


一方、竜の島では。リンが子竜たちに特製の“受注システム”を導入していた(開発:機娘アリス)。


「ピンポーン。新しい注文です。」


「王都→エルフの森。距離3000km。乗客:金持ちゴブリン商人。運賃:5000ゴールド。」


レッドドラゴンの目がギラリと光る。


「5000!?……やる!その案件、俺が取る!!」


こうして、奇妙な光景が生まれた。


人間側の視点では、至高の栄誉。「うおお!俺はドラゴンを雇った!俺は竜騎士だ!」ゴブリン富商は竜の背で自撮りしまくり、SNSに投下して人生の頂点に酔う。


ドラゴン側の視点では、ただの配達。「チョロいな。こいつ背負って一周するだけでこんだけ稼げるのか。」「強盗より早いじゃん。終わったら限定スキン買える。」


――双方が気持ちよく騙し合う。これが、Win-Winの“詐術”。


つまり。“ドラゴン版ライドシェア”――「配龍はいりゅう」だ。


竜の島は、世界最大の物流・旅客ハブへと変貌した。毎日、無数の竜が離着陸し、貨物と乗客を運ぶ。竜王は子どもたちが自立していく姿を見て、笑いが止まらない。


そしてリンは――注文ごとに自動で差し引かれる「プラットフォーム手数料30%」を眺め、竜王よりも幸せそうに笑った。


「これがプラットフォーム経済だ。」


……だが。海陸空にまたがるリンの版図が完成し、勢力が頂点へ膨れ上がったその時。一羽のフクロウ(※メルリンのじゃない、ただの使い)が新聞を落としていった。


《勇者日報》一面:


【警告!“深淵診療所”なる邪悪な洗脳組織!】

【独占スクープ:リン・アドラーは如何にして竜を奴隷化し、エルフを誘惑し、さらに毒品(※ガチャ)で人類を支配したか!】

【勇者協会:全人類は団結し、深淵文化をボイコットせよ!】


リンは新聞を見て、眉を上げる。


「勇者協会か。殴り合いで勝てないから、今度は世論戦?」


「メディアで俺を汚すつもりか?」


新聞を置き、目の奥に愉快そうな光が宿る。


「なら――土着どもに教えてやる。」


「本物の“次元降下の蹂躙”とは何かを。」


リンは静かに言った。


「アリス、準備。」


「新製品をローンチする。」


「――『深淵ショート動画』だ。」

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