第一百二十三話 全宇宙発売!――「若者の第一匹目の古神」
(場所:全宇宙ライブ配信・深淵新製品発表会)
危機解除の翌日。
リンは光速で【深淵生物テクノロジー社】を設立した。
そして全銀河向けの“新製品発表会”を開催する。
リンは黒いタートルネック。
ジョブズ風の装いで巨大なホログラムの前に立った。
「皆さん。家事に疲れていませんか?」
「ゴミ分別で禿げそうになっていませんか?」
「冷たい宇宙で、孤独を感じていませんか?」
「今日――私たちは“ペット”を再定義します」
指を鳴らす。
ぷるん、と透明でQ弾なスライムがリンの肩に跳ねた。
「紹介しましょう――【Eco-Slime】!」
「充電不要。終身稼働」
「偏食なし。埃、紙くず、残飯で生存」
「極度に懐く。冬はカイロ、夏は冷却マット」
【飢餓商法:開始】
スクリーンに進化形態が映る。
・金属を食わせる → 【合金スライム(銀)】
硬質化。防弾ベストにもなる。
・果物を食わせる → 【ゼリースライム(彩)】
芳香。天然の芳香剤。
・高級品を食わせる → 【プレミアム・プラチナモデル】
身分の象徴。
リンは微笑んだ。
「初回ロット限定一千万匹」
「初回価格――998」
「若者の第一匹目の古神」
「あなたには――その価値があります」
結果。
全銀河が狂った。
連邦議員夫人から、スラムの子供まで。
誰も彼もが一匹欲しがる。
第13区のサーバーは即死。アクセスで焼けた。
裏で注文の数字を眺める“黒リン”は、金を数えて手が攣りそうになりながら、顔面蒼白だった。
「リン……これ、本当に大丈夫か……」
「古神の幼体だぞ……?」
リンは落ち着いて茶を啜る。
「“アレ”を食わせなきゃ問題ない」
「それに――もし問題が起きても」
「……それは“別料金”だ」
【幻鏡ライブ・コメント欄】
「黙れ! 俺の金を受け取れ!!」
「若者の第一匹目の古神、天才コピー」
「黒リンの嫌な予感、だいたい当たるんだよな……」




