第一百一十七話 ビジネス交渉!「古い核廃棄物が一ロットあるんだが」
(場所:高次精神空間・商談会議室)
価値を見つけた以上、殴る理由は消えた。
戦争は終わりだ。ここからは――商談。
林恩は【精神干渉・高次通信】を発動。
喰らい尽くす者の主脳(あの巨大眼球)を、
強制的に“鍵付きチャットルーム”へ引きずり込む。
背景は、林恩が高級ビジネス会議室に設定した。
林恩はスーツを着込み、社長椅子に座り――棒付きキャンディをくわえる。
喰らい尽くす者(精神波動):
「蟻……神を直視するか……喰う……滅ぼす……」
林恩(机を叩く):
「食う食う食う! それしか言えねぇのか!」
「見ろよ、お前そのガリガリ具合!」
「この廃墟宇宙で何億年も腹減ってんだろ!?」
沈黙。
事実、宇宙の熱的死が進み、食える星は減った。
奴は飢えすぎて、自分の触手を消化しかけていた。
林恩は懐から、主宇宙第13区産の【高濃縮・工業猛毒廃液】を取り出す。
星間文明全てが泣く“死神の水”。
一滴で海を汚染する。
蓋を開けた。
巨龍すら即死させる悪臭が、部屋を刺した。
喰らい尽くす者:
眼球が見開かれ、瞳孔が針のように細くなる。
触手が震え、よだれが滝のように落ちる。
「……これは……何の匂いだ……」
「辛い……強烈……混沌のエネルギー……」
「石ころの一万倍、うまい……くれ……早く……」
林恩(蓋を閉める):
「欲しい? いいぞ」
「だがこれは“工業ラー油スナック”だ。高い」
林恩は、用意済みの『深淵労務派遣契約書』を突き出した。
「お前は今後、この宇宙に住め」
「俺が毎日、一億トンの“ごちそう”を運ぶ。腹一杯だ」
「条件は――」
1. 俺が出したゴミしか食うな
2. 勝手に他所を齧るな
3. 俺の縄張りに手を出すな
4. 食後に吐くエネルギー結晶は全部上納(電気代)
5. 逃げるな
6. 文句言うな
喰らい尽くす者は条文すら読まず、触手で判を押した。
興奮しすぎて机が貫通した。
「成立……早く……もう耐えられない……」
取引成立。
人類にとっては劇毒のゴミ。
混沌を食う古神にとっては、満漢全席。
【幻鏡ライブ・コメント欄】
[ 古神、飯のために自分を売ったwww ]
[ 毎日一億トンの辣条(廃液)って天国か? ]
[ 林恩, 成層圏にいる。両面取りが上手すぎる。 ]
[ これが真の“Win-Win”。殴り合いゼロ。 ]




