表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/144

第一百零六話:密輸王! “辣条”を“工業用潤滑油”に偽装せよ

 (場所:第13区・連邦理性検問所)


 地球文化の流出を完全に封じるため、連邦は第13区外縁に厳重な検問所を設置していた。

 融通の利かないキューブ型ロボットが、スキャナーであらゆる船を検査する。

 「ピッ――禁制品検出:高糖分書籍。焼却!」

 「ピッ――禁制品検出:バーチャルアイドルポスター。焼却!」


 そこへ、リンの巨大貨物船(ドラゴン王バハムート牽引)が、ゆっくりと検問へ滑り込む。

 船内にはコンテナが山のように積まれていた。


 「停船。検査を行う」

 キューブロボットが赤い電子眼で貨物をなぞる。

 「コンテナを開けろ。これは何だ」


 最初の箱。中には赤い油にまみれ、刺激臭を放つ細長い物体――辣条がぎっしり。

 リンは作業ズボン姿で、きわめて誠実な顔をした。

 「報告します、長官。第13区特産の――」

 「【赤色・工業用ヘビーデューティー潤滑脂(High-Performance Grease)】です」


 「潤滑脂?」

 ロボットは一本をつまみ、センサー分析を走らせる。

 「成分:カプサイシン、油脂、香料……強烈な刺激臭を検出」


 「その通り」リンは真顔で言い切る。

 「これは重型星間エンジン専用です。“辛味属性”を帯びた油でないと、超光速航行中にエンジンが“熱血沸騰”を維持できません」

 「この油を使わないと、エンジンが鬱になります。船が拗ねて止まります」


 ロボットの論理コアが高速回転する。

 「エンジン……鬱……論理検証中……荒唐無稽だが、反証不能」

 「第13区の機械はサイバー精神病を発症し得る」

 「判定:通過」


 「ではこれは」

 第二箱。分解されたゼロちゃんフィギュアのパーツ(腕、脚、頭)が山。

 「これは【精密バイオメカの交換用部品】」

 リンはゼロちゃんの頭部を持ち上げる。

 「えーと……中央演算装置の外殻」

 次に、黒ストッキングの脚を持ち上げる。

 「こちらは油圧伝達ロッド。防錆のため黒く塗装しています」


 ロボットがスキャン。

 「材質:PVC。低価格だが工業規格内。通過」

 「通行を許可する」


 ゲートが開き、リンは十万トンの“精神ドラッグ”を堂々と銀河の奥へ運び出した。

 数日後。

 宇宙の闇市には、ひとつの伝説が流れた。

 ――“キマる赤い油”が欲しければ、第13区産の「潤滑脂」を買え。

 外星人たちは布団の中で“工業用潤滑油”をむしゃむしゃ食べ、顔を真っ赤にしながら歓喜した。

 辛い。痛い。なのに、やめられない。


 【幻鏡ライブ・弾幕(暗号チャンネル)】

 [ロボ:この潤滑油、なんか食えそう…]

 [潤滑油じゃねえ、衛龍だw]

 [フィギュアを機甲部品にする発想、天才]

 [密輸現場に“匂い”があるの草]



 貨は出せた。だが――安全な“捌き場”が要る。

 「売るだけじゃダメだ。“群れて吸う場所”(=群れてアニメ見る場所)が必要だ」

 リンは星図の片隅、廃棄された小惑星鉱坑を指した。

 「ここだ」

 「【地下二次元都市】を作る」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ