第一百零三話:IQゼロ!“爽文テンプレ”が全宇宙をキメさせる
(場所:中央ステージ)
一曲が終わり、外星人たちは床に崩れ落ちた。精神のマラソンを走り切ったように。だがリンは、呼吸を整える猶予すら与えない。踊りが“物理攻撃”なら、次の【寸劇】は価値観そのものに突き刺す“論理核弾”だ。
ついさっきまで機械族劇団が上演していたのは『二進数アルゴリズム最適化の百年史』――客席は睡眠落ちの山。リンは自信満々に前へ出る。
「諸君。階級が固定され、遺伝子が運命を決め、出生が終点を決める宇宙――疲れていないか? どれだけ努力しても、“生まれつき良いチップ”には勝てないと感じたことは? ではご覧いただこう。地球名物――」
『トラックに轢かれて異世界転生したらチートでハーレムする件』
第一幕:【伝説のダンプ――トラックくん】
舞台でアーサーが過労死寸前の社畜を演じる。ボロスーツ、死んだ目。そこへショゴスが演じる“赤いトラック”が轟音とともに突っ込む。車体にはでかでかと「異世界直送」と書かれている。
ドン!
アーサーが吹っ飛び、空中で三回転半。
外星人観客:「???」
「なぜ車? なぜ防護服を着ない? 死に方が雑すぎないか! 殺人だ! 通報しろ!」
第二幕:【転生とチート(Cheat Skill)】
アーサーが目を覚ますと、アリス投影の青い半透明ウィンドウ。
【システム通知:固有スキル『絶対無敵』を獲得】
【レベル:Lv.9999】
【パッシブ:呼吸で強くなる/歩けば神器拾う/美女が自動で惚れる】
会場が爆発した。審査席の高知能“脳惑星人”が机を叩き割り、脳液が沸騰する。
「ば、馬鹿な! 非科学的だ! エネルギー保存則が死んでいる! 生まれた瞬間にカンスト? 訓練は? 学習は? 努力は?!」
リンは袖で冷笑する。
「理屈はいい。これは“爽”だ。これは『俺TUEEE』だ。お前らは理屈を追うから苦しい。俺たちは理屈を捨てるから楽しい。」
第三幕:【復讐とざまぁ(Zamaa)】
かつてアーサーを見下した悪辣な敵(サマエル役)が登場。「生身の人間がイキるな! 俺はS級遺伝子兵だ!」アーサーは指を一本、上げるだけ。口元は例の“龍王スマイル”。
「ステータス……オープン。深淵インパクト。」
――ドン!!!
敵は瞬殺。セリフすら言い切れない。アーサーは汗ひとつかかず、背後に三種族の美女(サキュバス、エルフ、龍娘)が飛び込んでくる。
結果――この“脳死の気持ちよさ”“雑に強い”“豚の皮を被って無双”は、遺伝子ロックに縛られ、努力しても階級を超えられない銀河の民にとって、精神の麻薬だった。
さっきまで科学を語っていた審査員が、すでに涙を流している。大脳皮質はドーパミンの洪水。
「気持ちいい……なぜこんなに気持ちいい!? 俺は五百年働いて昇進したのに、こいつは呼吸で強くなる!? なんでだ! 俺も転生したい! あの青い枠が欲しい! 誰かトラック持ってないか!? 轢いてくれ!!」
会場は完全に制御不能。無数の外星人が仮想網で「トラックの探し方」を検索し始め、騒乱が加速する。
【幻鏡コメント】
[ 終わった。外星人が“龍傲天(俺TUEEE)”を覚えた。 ]
[ ダンプ運転手:功績は語らず、今日も業績MAX。 ]
[ 文化輸出成功!銀河のIQが一斉に落ちた! ]
[ 審査員、辞表書き始めて異世界移住準備してるw ]




