第1話「筋トレしすぎて無職になった男、異世界で目覚める」
第1話「筋トレしすぎて無職になった男、異世界で目覚める」
俺の名前は筋川剛志。
30歳、元サラリーマン。特技は——ベンチプレス300kg。
「お前、それで給料もらってんのかよ」
かつての同僚にそう言われたあの日から、俺の筋トレは加速した。朝はプロテインで始まり、夜は懸垂で締める。仕事?知るか。
——結果、俺はクビになった。
「俺は筋肉のために生きるッッ!!」
そんな俺が、なぜか今、異世界のど真ん中に立っていた。
*
「目覚めたか、転生者よ……」
金ピカの王様が言った。王冠より肩の僧帽筋のほうが立派な俺に向かって。
「そなたの肉体、その尋常ならざる張りと隆起……まさしく”神の贈り物”であろう!」
「……まあ、ベンチ300kgいけますから(ドヤァ)」
その瞬間、王様が何かを察した顔になった。
「その名を授けよう。そなたは今より、“シーヴァ”と名乗るがよい。“破壊と再生”の神の名だ!」
「ちょ、待って。それ筋トレ関係あんのか?」
「ある!今この国には、戦争に代わる“平和の競技”が必要なのだ」
そう、魔法戦争でボロボロになったこの世界では、暴力の代わりに「競い合う文化」を作るため、いろんな娯楽を考えていたらしい。
そして、俺の筋肉を見た隣国の使者が叫んだ。
「筋肉こそ、平和の象徴ではないか!」と。
その流れで、筋肉大会が始まることになった。優勝した者には莫大な名誉と、町を一つ救う権利が与えられるらしい。
「……マジで? そんな都合のいい話が……」
けど俺は思った。
(筋肉のために生きてきて、無職になって、最後に行き着いたのが……筋肉で世界を救う?)
「よし、やってやる。筋肉のことなら、なんでもいいし!」
かくして俺は、「シーヴァ」として生まれ変わった。
仲間を集め、ジムを作り、筋肉で世界を変えるための旅が始まる。
だがその時、俺はまだ知らなかった。
魔法が全てだったこの世界には、「筋肉」という概念すら存在しないことを
【筋肉知識コーナー】第1話:筋トレと失業の境界線
筋トレにハマりすぎて生活が崩壊する人は、実際にいる(特にハードゲイナー男子)。
重要なのは「筋肉第一」ではなく、「生活と筋肉のバランス」。
仕事・睡眠・人間関係も、筋トレの一部だと考えよう。