転生した賢神
『おかえりなさいませ。賢神様。』
「ただいま。」
俺はその光景に若干の懐かしさを覚えながら自分のラボを見渡した。
「~であるからして」
今日も今日とてつまらない授業を右耳から左耳へ流しながら窓の外を見つめる。まあ全ては俺の悪い癖が出ただけなのだが。
俺には前世の記憶がある。魔法が主流の異世界のとある貴族の家に生まれた俺は魔法ではなく魔道具の才能を持っていた。家を追放された俺は必死に技術と知識を学び魔導騎士という人が乗り込み戦う人型兵器を開発した。それだけでなく多くの魔道具を開発し発明王、大賢者などと呼ばれいつしか賢神という新たな神へと至った。が、俺は己の知識欲が赴くままに生きたいために神の力だけもらい、その神の力にも制限を加えた状態でこの世界に人間として転生した。
転生した俺はかつての世界に当たり前にあった魔法一般的に空想上のものだということに驚き、その代わりに発展した科学という技術に興味をもった。そこから俺は再び研究を始め、論文をいくつも発表し神童などと呼ばれた。
だから今受けている高校の授業も10年以上前には理解しているためつまらないと思っている。だが神童などと呼ばれているからこそ世間からの評価的に高校には行っとくべきという両親の方針によりわざわざ登校している。