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飾り付け

神子様の為に花を用意する事にした私は早速花屋に向かった。

日頃花に興味を持った事もなく、買ったことも無かった為にどんな花を買えばいいか全く分からなかった。

(先程も思ったが、やはりこういう事は素人が決めるよりもプロに任せる方がいいだろう)


花屋に入ると広い店内には生き生きとした鮮やかな緑の観葉植物や色とりどりの花が咲き誇って、何とも華やかな香りが店内を包んでいた。

『いらっしゃいませ』

『部屋に花を飾りたいのだが、あまり香りが強すぎないものを選んでもらえないだろうか?』

そう言われるのも慣れているのだろう。すぐに希望を聞いてきた。

『かしこまりました。お好きな色や気になるお花は何かありますか?』

『いや希望は特にない。部屋でリラックス出来るようなイメージで選んでほしい』

にこやかに対応していた店員は、少し考えると周りを見渡し『では優しい色と香りの可愛らしいお花を飾りましょうか』

そう言うとテキパキと花を選び、手際よく花束にして纏めてくれた。自分で選ぶよりもいい感じの花束が出来上がったと満足して足早に詰所に向けて歩き出した。


詰所の自室に花を飾った後も神子様は起きる気配は無かった。もし神子様が目を覚まされた時に、2人きりだと警戒されてしまうだろうか?神子様が安心出来るような部屋とはどんなものだろうか?暇さえあれば自主トレしかしていない私ではいい案が出て来ない。そこでまた詳しい人物に聞いてみる事にした。


(部屋の前で警備している部下には確か兄妹がたくさんいたはずだ。小さい兄妹の話を聞けば何かいい案が浮かぶかもしれない。)

『ルーデンちょっといいか?』

『隊長、神子様はまだ目を覚まされませんか?』

『ああ。それで少し聞きたい事がある。神子様が目を覚まされた時に安心感を与えたい』

『確かに知らない場所にいたら不安になりますよね』

『部屋に花を飾ってみたのだが、それだけでは心許なくてな』

『なるほど。では柔らかくて可愛い物を周りに置くのもいいかもしれないですね』

(すぐに案が出てくるとは流石だな。確かに柔らかくて可愛いなら神子様も安心されるかもしれない)

『・・・。毛布か?今の季節は少し暑いぞ?』

『なんでですか!毛布なんて可愛くないでしょう。ぬいぐるみですよ。神子様の周りにぬいぐるみを置いてみてはどうですか?私の妹はぬいぐるみが大好きですよ』

『ぬいぐるみか。よし早速買いにいってくるとしよう。助かった。また出掛けて来るから神子様の事よろしく頼んだぞ』

言い捨てるなり、今度はぬいぐるみを買う為に急いで店に探しに出かけた。


街にあったぬいぐるみは5種類ほどしかなかったが、ないよりはマシだろう。両手にぬいぐるみを抱えて詰所に戻り、早速神子様の左右にぬいぐるみを並べてみた。

元々この部屋には生活感など無かったが、少しは居心地のいい部屋になった気がする。


後は神子様が目覚めるのを待つだけとベッドから少し離れた場所に椅子を置いて座っていた。しばらくすると神子様の眉間に力が入り、ゆっくりと瞼を持ち上げた。

少し前髪がかかる長い睫毛の下に大きな黒い瞳と小さくて可愛い鼻と口、小動物のような可愛らしい顔に見惚れてしまった。

(なんという事だ!やはり神子様は黒猫だったナイではないか!こんなに可愛いらしい人間が存在するのか?)

ジッと見ていたからだろうか、神子様が居心地が悪そうに視線を泳がせ始めた。

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