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地下世界

 社会から弾き出された者、自ら望んで来た者、悪意によって落とされた者、或いはその存在が一生知られることのない者。


 彼らは皆、地下と呼ばれる、洞窟内に築かれた巨大な街で暮らしている。


 街の中心には満月街(まんげつがい)と呼ばれる、周囲に水堀が張り巡らされた高い塀に囲まれたエリアがあり、その中には多くの妓楼や飲食店が立ち並んでいる。

 これらの店を利用するのは地上で暮らしている富裕層や権力者。この地下は、彼らが際限のない欲望を満たすために作り上げた世界なのだ。



*****



 満月街内にある妓楼の1つ、月下楼(げっかろう)

 満月街には特殊なサービスを提供する妓楼が複数あるが、この月下楼もその1つである。


 遊女への暴力、殺傷がサービスの1つとして容認されていることが月下楼の特徴であり、遊女が亡くなった場合は全て事故として処理される。

 ハードなサービスを提供している分、遊女へ支払う報酬は高めに設定されており、接客後に手当てや簡単な治療なども受けられることから、遊女としての仕事を探す女性からは一定の人気がある妓楼である。


 カラスの羽根のような黒い髪と瑠璃色の瞳からその名をつけられた遊女、瑠璃羽(るりは)

 体が丈夫で傷の治りが早い上に接客も評判が良く、月下楼で高い人気を誇っている。


「ありがとうございました。また、よろしくお願いします」


 瑠璃羽は枯れた声で礼を言い、恭しく頭を下げた。その背後に敷かれた布団には、彼女のものである血痕が付着している。


 客である男は、今にも倒れそうにふらつきながらも頭を下げる瑠璃羽を見つめながら背広を着直し、そのまま声もかけずに部屋を出た。


 ぱたん、と襖が閉められる音がした瞬間、瑠璃羽はその場に倒れ込んだ。浅く細かい呼吸をし、体中に走る痛みに耐えていた。


「瑠璃羽、今日はもう指名は入ってないから部屋に戻りな。明日は1人。あんたならそれくらいはこなせるだろ」


 倒れる瑠璃羽を気にかけることもなく、明日の予定を伝えるのは、この月下楼を取り仕切る内儀である。瑠璃羽はよろよろと立ち上がり、小さく会釈をすると、自室へ向かって歩き出した。

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