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第九話 気がつけば18歳

 此処は何処なんだ。小汚い部屋の中だと言う事は分かるんだけどな。


 思い出す為に目頭を押さえながら記憶を探っていくと、私ではなくフレイクとしての時間が頭の中を駆け巡って来た。


 あ~~~~~~~~~三年前に父親は死んでいるじゃないか。

 え~~~~~~~~~何が……そうだった。


 あの日、私(僕)は病気の為に家で休んでいたが。その時の村全体での合同の狩りで突然現れたトロールに父親は三人の仲間と一緒に殺されてしまった。


 そのトロールは逃げ延びた人たちが冒険者を手配し、依頼されたB級冒険者が退治したがそんな事は私にはどうでもいい。


 それから僕は一人で狩人を続けようとしたが、風魔法が使いこなせない為に狩人を辞めて村を出て<木漏れ日の丘>という食堂で住み込みで働いたのだが、16歳の時にその店を辞めて冒険者に何故かなってしまった。

 この部屋……いや、この元家畜小屋に格安で貸して貰って今は暮らしている。


 何でこんなことになったんだ。もしかしたら自由を求めた私の考えに引きずられたのか知らないけど、もう少し考えてくれよ。

 冒険者になって2年も過ぎているのに未だ最低の階級のFランクじゃないか。


 向いて無いにもほどがあるだろ。

 あ~本当に僕は私なのか、何でちゃんと考えてから行動しないんだよ、私のあの行動は何もかもが無駄じゃないか。


 落ち着くんだ私よ、今日からは私がこの世界で生きるんだ。

 此処から立て直すしか無いだろう。


 どうせなら名前もフレイクからシューヤに変更しよう。仮に私がまた意識を失っても僕がこの名前の違和感に何かを感じて欲しい。


 どうせなら年齢も変えるか……それは無理があるな、この顔で50越えはありえない。18歳のままでいいだろう。



 このパルケス街の建物は中世の様だが、ギルドだけは何故が昔のギリシャ風でパルテノン神殿のような造りになっている。


 僕は中に入るのを躊躇し、馬鹿みたいに口を開けて見ているといきなり肩を押された。


「そんな場所で止まっているな、邪魔なんだよ、万年F級のお前は端にいろっていうんだ」


 言い返そうとして適切な言葉を考えている内に、ベテラン風のその男は私を無視して中に入っていた。


 そいつの態度にはかなりムカつくが、確かにこの私(僕)を見たら嫌味を言いたくなるのは少し理解出来る。

 奴は何時まで経ってもC級に上がれないうだつの上がらない冒険者だ。だからどう見ても自分より下の人間を利用してストレスを発散させたいのだろう。


 今までの僕なら苦笑いをしているだけで終わったが、私はそうはならない。【リプレイ】を使えば冒険者としても駆け上がれるかもしれない。


 そうなったら先ずはE級に上がらないといけないな。いきなりSやAなどとは口が裂けても言わないほうがいい。


 依頼票を見に行こうとしたが、ギルドの入口に珍しく立て看板が立っていた。この場合は緊急性や危険がある為、依頼料が高めに設定されている。


「討伐依頼はいいんだけどさ、内容が薄すぎるじゃないか」


 私の独り言に、隣にいる冒険者は独り言で返してくる。


「情報が少ない分、依頼料は高いんだろうな……推測すると、美味しいかも知れん」


 それならば、私も参加したいがこの手の依頼は最低条件がD級のケースが多く、このF級の私には関係ないだろう。


「全階級参加可能だって、ただ階級によって報酬は違うのか、職員も討伐部隊に参加すると……」


 今の私なら風魔法で遠くから攻撃が可能だ。それに前衛が負けそうになたら直ぐに逃げれば何とかなりそうだ……そんな卑怯な真似をしたら冒険者でいられなくなるだろう。


 あ~この野郎、もうやっているじゃないか。

 新人だからとパーティに入れてくれたのに、たかが2匹のゴブリンを見ただけで逃げ出したな。

 それもパーティの人達は簡単に倒しているじゃないか……何をやっているんだよ。


 そんな醜態を晒して何で冒険者にしがみ付いているんだよ。<木漏れ日の丘>に戻れば今よりマシな生活が送れるというのに。


 僕は本当に私なのか……しょうがないな、どうにかするしかない。


 このまま冒険者を続けるのなら選択肢は二つある。


 一つ目は僕の事を知らない街に行って一からやり直す。

 二つ目はこの街で生まれ変わった姿を態度で示すかだ。


 う~ん、どうしたらいいのかな、冒険者など止めて商人になった方が私の知識を活かせるな。

 駄目だ。商人になったらどうせ私は直ぐに頑張る事を止めて前と同じにそこそこの人生を選ぶような気がする。


 魔法が使えるのだから、やれるだけ冒険者をやってみよう。それに諦める癖を治す為にもこの街で信頼を取り戻してやる。

 


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