表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/106

第七十八話 ギルドにて

「そんなに焦って食べなくても大丈夫だよ、そもそもムックの身体より大きい魔獣なんだから食べきらないだろ」


 街の近くにある茂みの中でムックに魔獣を食べさせ始めたが、ムックは興奮しながら貪るように食べている。


「あっムックが骨も食べてるよ、止めさせた方が良いんじゃない」

『煩わしい小娘だな。こいつの骨は歯ごたえが格別で美味しんだよ』

『あのさ、肉は良いけど骨は食べないでくれって言っただろ、討伐証明になるんだからさ』

『あれっ、そうでしたっけ』


 それからのムックは綺麗に肉だけを食べた後で子犬の姿に戻り満足そうにひっくり返っている。


「随分とご機嫌だね」

「そうらしいけど、あの量の肉は一体何処に入ったのか不思議だよ」


 ムックはお腹を向けて寝転んでいるので、アーリアはしぶしぶ摩っていると、ムックは満足そうに目を細めている。


「ねぇあんたは私の言葉を理解しているんでしょ、私にも話し掛けてくれないかな」


 ムックは無視しているので、アーリアは言う事を聞かせるために両手でお腹をくすぐり始めると、それから逃れるように身をよじるが決してアーリアはその攻撃を止めようとしない。


『ちょっと、ご主人様助けて下さいよ、きゃははは』

「あのさ、ムックが止めてくれって言っているんだけど」

「私には聞こえないよ、止めてあげるからもっと集中してよね」


 アーリアはその手を止めてムックを向き合うように立たせ、じっとその目を見ている。その視線に耐えられなかったのかムックは俺の背中に隠れだした。


『恐ろしい事をしおって、この小娘にはテイマーの才能はまるで無いし、魔族の魔力を感受出来ないんだから無理に決まってるわ』

『そうなると俺にはテイマーの才能があるから会話が出来るのか』

『そうではありません』

『だろうね』


 ムックが最初に私の事をリシオだと思っていたぐらいだから、そう言う事なんだろう。どうしてこの身体の中にある魔力がそうなっているのか知らないが受け入れるしかない。


「ねぇまた私を無視して会話しているでしょ、どうなのよ、やはり秘薬を飲まないと無理なのかなぁ」

「そうみたいだな、アーリアにテイマーの才能があったら言葉が届くってさ、まぁこれからはちゃんと通訳するからいいだろ」


「な~んだ、つまんない」



 ◇



 ギルドの受付でムックが食べ残したラグドールの骨を並べていたらいつの間にか人だかりが出来てしまった。


「あのもしかしてこれはあのラグドールの骨ですか?」


 受付の女性はまだ十代の中頃だと思うが、頭部と爪を見ただけで普通のラグドールでは無いと判断したようで、その長くて赤い髪が骨に触れているのだが全く気にならない位に顔に近づけて見ている。


 すると顔が大きいせいで身体とのバランスが余りにも悪い中年の男が私の肩を掴んでどかしてきた。


「ミリアちゃんよ、あんたの想像通りにこれはあのラグドールだぜ、俺達がずっと狙っていた奴をこいつが仕留めたんだろうよ、なぁ、報告しなきゃいけないから奴を呼んでくれよ」


 その男は私達を無視して話すと、受付嬢は直ぐに扉の奥に入り、落ち武者のような老人を連れて戻って来た。

 その間は数分間あったのに男は一度も私達の方を見ない。


 何となく不穏な空気が流れているが、それよりも私は老人の姿に昔をの事を思い出してしまう。


(この人が上司なのか、そのみすぼらしさは窓際族何だろうな、私は服装だけはしっかりとしていたが彼はそんな気力すら残っていないんだろう。頑張れよ、若い者に負けるなよ)


「…………聞こえているのか、おいっ、お前に行っているんだよ」

「ねぇ聞かれてるって、どうしたのよ」


 アーリアに肩を揺すられて思考の中から抜け出すと、誰もがいぶかしんだ目で私の事を見ていた。同情していた老人も可哀そうな目で私を見ている。


(ちょっと考え事していただけだろ、そんな目で見るなよな、リプレイ)


 その老人は直ぐに頭部の骨を手に取ってじっくりと観察をし始めた。


「これは紛れもなく奴の頭部だな、全くこんな姿になっても此処まで存在感があるとはな」


(あれっ意外とまともだぞ、もっと弱々しく見えるんだけどな)


 それからギルドカードの提出を求められたので渡すと、折り畳みの石板の横にギルドカードを挿入した。

 私からでは何が起こっているのか分からないが、老人は真剣な顔で石板を見ながら薄くなっている髪の毛を掻きむしり始めた。


「これは……間違いなわけないよな……こいつはもうすぐA級害魔獣なんだぞ……誰か裏にいるのか」

「何なんですか、倒したのが俺じゃないとでも言うんですか」

「ねぇ私達は貴族でも何でもないんだよ、そんな事をして何のメリットがあるのよ」

「そうなんだよな、けど……」


 何を悩んでいるか分からないが老人は自分の眉間を指で叩きながら悩んでいるし、隣の中年はイライラしながら後ろを振り返った。


「おいっちょっと来い」

「「へい」」


 呼ばれて出てきたのは二人の男だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ