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第六十八話 私の決断

 砂嵐が思った以上の足止め効果をしていたので、それ以上何かをする事は無く砦に無事に戻ったのだが、砂嵐の魔法が消えるとそれ以上向かって来る事は無かった。


 奴らはクレーターの向こう側に待機しているので、【メギド】の射程距離があそこだと思っているのだろう。


(正解じゃないんだけどな、まぁ撃てないけどね)


 砦の上では司令官が分隊長を集めて敵を見ながら今後の対策を話し合っている。


「あいつらは何かを狙っています。何かしら行動をした方がいいんじゃないですか」

「只の威嚇だろ、勝手にやらせておくんだ。その間にこっちも人員が揃うんだからな」

「そんな弱気な戦い方でいいんですか、我々は戦士なんですよ」


 人間の軍では司令官の命令が絶対だと思うが、獣人族ではそこまでの絶対性はないようで様々な意見が飛び交っている。


 分隊長の意見は好戦的なものが多く、作戦とは言えない様なものばかりで精神論で乗り切ろうとしているので、私は呆れてしまうがそれに同調する俺もいた。


 その俺はやはりインベルガーとしての俺で、今はまだ魔石の力で抑える事が出来ているが、これ以上何かがあるとまた暴走するかもしれない。


『ご主人様、また馬鹿共が飛び出していきますよ』

『何だと、あいつらなのか』

『さぁそこまでは分かりませんが』


 歓声が沸き起こり、また下の城門が開かれ、一角馬隊が飛び出していく。今度は誰も追いつけないように砂煙を巻き上げながら駆けて行っているので、今から追いかけても彼等を止める事は出来ないだろう。


(またリプレイするか……いや、どうせ同じことの繰り返しだな)


 司令官は魔道具を握りしめながら大声で戻ってくるように叫ぶが、その声は届いてはいないらしくそのまま敵に襲い掛かって行った。



 ◇



「酷かったね」

「あんなのは戦いでもなかったな」

 

 今度はオーガ族ではなく、反対側のリザードマンを倒しに行ったが、最初だけはリザードマンを蹴散らしたように見えたけど、直ぐにオーガが現れてしまったので一角馬隊は全滅してしまった。


「ねぇ大丈夫? 何だか顔色が悪いよ」

「あんなのを見てしまったからな、もうどうしようもないのさ」


 実は劣勢になった瞬間から何度も【リプレイ】を繰り返したのだが、結果は何も変わらなかった。もしかしたら戦果を挙げるのではないかと私が勝手に思ってしまったせいで、たったの五分ではどうにもならない状況になってしまった。


(何度も彼等が死んで逝く姿を見させられたら顔色も悪くなるさ、インベルガーも何故か暴走をしないでくれるのは助かるけどね)


「隊長、あまり口を出さない方が良いのは分かっていますが、これ以上馬鹿な真似をしないように言った方が良んじゃないでしょうか」

「そうだな、だが今度は復讐と言う目的が出来てしまったからな」

「冷静になって欲しいですね」

「あぁ…………」


 ネストレとモデストが真剣に話している隣で私の色んな案を思い浮かべている。辻本としての私には実戦経験はある訳無いので、この思いついたアイデアは過去の俺達の意見なのだろう。


 その中で一番安全な策をその二人に話してみる事にした。もしこれが却下されるのであれば砦に戦場が移る前に退散するしかない。


「それは面白い案だが、本当に大丈夫なのか」

「彼等の暴走を止めるならやる価値はありますよ、ただもし駄目なら俺とアーリアは此処から離脱しますので」

「まぁそのまま離脱できるしな」


 これからやろうとしている事は私とアーリアがムックの背中に乗って、眼下にいる敵を大幅に迂回し、本陣にいるはずの司令官を狙撃することだ。


 暗殺という卑怯なやり方は獣人族には出来ないと思うし、向こうもその可能性をあまり考えていないと思う。獣人族は真っ向勝負が好きだし、それはオーガ族にも当てはまるからだ。


 まぁ確実に狙撃できるのかは不明だが、一つの作戦行動中だと司令官が部下に言えば、流石に大人しくしてくれている事を期待するしかない。


 それに敵の注意を砦に向けてくれれば向ける程、私達が安全に行動できる確率が上がって行く。何と言っても今のムックの速度なら追いつかれる心配が無いのが私が勇気を出せる秘密にもなっている。



 ◇



「本当に一緒に行くのかな」

「当たり前です。伏兵がいた場合は私達が盾となって二人を逃がします」


(そうじゃなくてさ、一角馬とはいえムックよりかなり遅いんだよな、はっきり言うと邪魔でしか無いんだけど…………そこまで強く言えないな)


 アーリアは今のムックに乗れることが楽しみらしく早く行きたがっているので、仕方なく護衛として付いてくる気の彼等と一緒に出発する事にした。


 ただし、当初は十五頭の一角馬が付いて来ようとしたが、それだと見つかってしまう恐れもあるのでどうにか三頭と言う事で納得をして貰う事になる。


(あのさ、こんな交渉で【リプレイ】を八回も使わせないでくれないかな、ただそのおかげで私達に付いて来る理由の中に護衛だけでは無いと言う事が分かったのは良いんだけどな)


 何処の種族も汚い考えを持っている者がいる事は今更ながら理解出来た。

 

 

 




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