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第六十七話 一角馬隊を止めろ

「これが新しいムックの姿なんだね、前は薄汚かったけど少しは見れるようになったじゃない」


『小娘が……ご主人様、殺してもよろしいでしょうか』

『もう言わなくても分かるだろ、それにアーリアに悪気がないんだから許してやってくれよ』


 ムックをまじまじと見ているアーリアをフォローしているが、悪気の無い事が本当に良くない事だと心の中で思っている。


「そんな暇は無いんだよな」


 直ぐにムックに飛び乗るとそのまま縁を飛び越えて駆け下りていく。

 前回と違い気持ちは高まっているが、冷静な部分があるのでそのまま自分を信じて彼等を追いかけた。


『乗り心地はいかがでしょうか』

「凄いな、安心して乗っていられるよ、これはムックの魔法の力なのか」

『私の風魔法の力が強化されましたのでこんな事も出来るようになりました』


 ムックの背中は風を感じる事はなく、この私は何処かにしがみ付いている訳では無いのに振り落とされない安心感がある。


「このままあそこに向かってくれ」

『あの馬鹿な連中に追いつけばいいのですね』


 オーガの耐久力がどれぐらいなのか分からないが、まずは【混沌の弓】を出して、基本的な【光の矢】から試してみようと思う。


 一角馬隊がオーガとぶつかり合う前に【光の矢】を先頭のオーガに放つと、その2mはありそうな棍棒みたいな武器で【光の矢】を叩き落としてしまった。


「おいおい、魔人てのはこれほどなのかよ…………リプレイ」



 ◇



  ムックに跨った途端に下に向かうのではなく、司令官の元に向かって貰った。


「すみません、さっきの声が大きくなる魔道具を俺に貸してくれませんか、あの一角馬隊を止めないとやられますよ」

「貸すのは構わんが、せめて下に降りてから使わないと向うには聞こえないぞ」

「それは大丈夫です、なぁムック」


 奪うような形で司令官から杖の形をした魔道具を手に取ると、そのまま一気に下まで降りていく。


「一度下がるんだ。無駄死にするぞ~……まだ聞こえないのか」

 

 砦には何か秘密があるようで広範囲に聞こえるが、この場所ではメガホンぐらいの効力しかないようだ。


『ご主人様、私の魔法も協力します』


 ムックの言葉に従い、もう一度試すと、一角馬隊はオーガと接触する前に方向転換をしてくれた。

 一角馬隊が私の元に来たとほぼ同時にネストレ隊長達も合流すると、隊長は力まかせに獣人族の兵士を殴りつけた、


「馬鹿野郎、援護も無しに飛び込んでどうするんだ。無駄な戦力なんて無いんだぞ」

「いえ、私達なら出来ます」


 真っすぐな目で訴えてくるが、彼等では簡単に全滅させられてしまうと思う。


「一度も旗を獲る事が出来なかったあなた方には無理だよ」

「それとこれとは……」

「同じ事だ、一度砦に戻るぞ、これは司令官から預かった命令だ」

「くっ……はい」


 暴走した若い兵士達を連れてネストレ隊長達は砦に戻っていくが、説得しているその間にオーガ族に追につかれそうになってしまった。


 しんがりを私に任せて貰ったのでそれなりの対処をするつもりだが、俺達が勝手に暴走しないようにあの魔石を握りしめている。


『汚らわしいオーガ共がやってきますな、ご主人様よろしければ足止めとして砂嵐などいかがでしょうか』

「そうなると俺は中身だけでいいのかな」

『左様でございます』


 目の前に細やかな砂を出現させると、ムックが生み出した小さな風がその砂を巻き込み始めたてオーガ達に向かって行く。


「どうせだったら奴らから魔力を貰うか」 


 砂嵐がオーガ達を包み込んだのを確認してから、私の身体から無数の黒い鞭に様な魔力の管が地面を這うようにしながらオーガ達に向かって伸びていく。


 その黒い鞭に触れたオーガは力を無くしてしまったかのように膝から崩れ落ち砂嵐の中からひじき飛ばされている。


 それに逃れたオーガも中にはいたが、それに対してムックは見えない何かをオーガに向けて飛ばしているらしく、オーガは身体を切り刻まられながら棍棒で致命傷にならないように防いでいる。


『ご主人様、どうか足止めしますので、オーガからは魔力をどんどん吸い込んで下さい』

「それがな、思ったほど吸収出来ていないんだよな、やり方は間違っていないはずなんだけどな」

『所詮はオーガですな、これだから力だけの魔人は使えないんですよ』


 私の予定としてはオーガから奪った魔力をそのまま利用して勇者が使っていた広範囲魔法を使用しようと思ったが、残念ながらその作戦は変更するしかない。


(さて、次はどうしようかな)













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